第28回|返信を書き直したあと、送らなかった夜─「言葉を寝かせるという判断」【日常発見の窓口から】 | ソング中小企業診断士事務所

第28回|返信を書き直したあと、送らなかった夜─「言葉を寝かせるという判断」【日常発見の窓口から】

第28回|返信を書き直したあと、送らなかった夜─「言葉を寝かせるという判断」【日常発見の窓口から】

動画で見る日常発見の窓口からの記事説明

※この動画は「日常発見の窓口から」全記事に共通して掲載しています。

中小企業診断士としての日常のひとコマから、経営者としての“感情”や“判断”に潜むクセを見つめるこのシリーズ。
今回は、何度か書き直した返信文を、あえて送らなかった夜から、「言葉を使わない判断」について考えてみます。

4つの体系で読む、井村の経営思想と実践
記事・ツール・コラム・思想─すべては一つの設計思想から生まれています。
現場・構造・感性・仕組み。4つの視点で「経営を届ける」全体像を体系化しました。

実践・口

経営相談の窓口から
失敗事例の切り口から
会計数値の糸口から

現場の声を起点に、課題の本質を捉える入口。
今日から動ける“実務の手がかり”を届けます。

時事・構造

診断ノート
経営プログレッション
 

経営を形づくる構造と背景を読み解きます。
次の一手につながる視点を育てる連載です。

思想・感性

日常発見の窓口から
迎える経営論
響く経営論

見えない価値や関係性の温度に光を当てます。
感性と論理が交差する“気づきの場”です。

実装・仕組み

わかるシート
つなぐシート
みえるシート

現場で“動く形”に落とし込むための仕組み群。
理解・共有・対話を支える3つの現場シートです。

何度も書き直した、短い返信

その夜、ある連絡に対する返信を書いていました。
内容はそれほど難しいものではなく、
書こうと思えば、すぐに送れる文章です。

それでも、
書いては消し、
言い回しを変え、
また書き直す。

画面に残っているのは、
短い文章なのに、
なぜかしっくりきません。

「これでいいはずなのに」
そう思いながらも、
送信ボタンを押す手が止まりました。

送らなかった理由は、はっきりしない

違和感の正体は、うまく説明できません。
失礼になるわけでもなく、
強すぎる言葉でもない。

ただ、
「今、この言葉を出すべきではない」
そんな感覚だけが残っていました。

結局、その返信は送らず、
下書きのまま画面を閉じました。

翌日、改めて読み返してみると、
前日の文章が、
少しだけ感情に寄っていることに気づきました。

送らなくてよかった。
そう思えたのは、
一晩という時間が、
言葉から熱を冷ましてくれたからだと思います。

言葉を出さない判断も、意思決定

経営の現場でも、
「言うか、言わないか」で迷う場面は多くあります。

正しいこと。
伝えたほうがいいこと。
今後のために、言語化しておくべきこと。

それでも、
“今ではない”と判断する場面もある。
その判断は、逃げでも曖昧さでもありません。

言葉は、一度出してしまうと戻せません。
だからこそ、
出さない選択にも、
同じくらいの覚悟が必要なのだと思います。

送らないという判断は、
何もしないことではなく、
関係を守るための行動です。

時間が、言葉を整えてくれる

言葉を寝かせると、
不思議と、本当に伝えたいことだけが残ります。

感情の勢いは削がれ、
余計な装飾は落ちていく。
その過程で、
自分自身の考えも整理されていきます。

経営でも、
重要な判断ほど、
一度その場を離れたほうが、
輪郭がはっきりすることがあります。

すぐに返さない。
すぐに言わない。
その“間”が、
結果として、いちばん誠実な対応になる。

返信を書き直したあと、
送らなかった夜は、
そんなことを静かに教えてくれました。

最後の問いかけ

あなたは最近、
「言わない」という判断を、意識的に選びましたか?

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