
数字は、あなたの経営の「糸口」であり、道標です。
数字はただの記号ではなく、あなたの悩みを解きほぐし、未来を切り拓く手がかりです。
「会計数値の糸口から」─業種ごとのリアルな物語を通じて、数字を“自分ごと”に変えていきましょう。
損益計算書(PL)、貸借対照表(BS)、キャッシュフロー計算書(CF)の3つの切り口から記事を整理しています。
気になる業種や悩みに近いテーマを選び、数字が映すあなたの経営の糸口を探してみてください。
経営に数字を─遠い存在から、あなたの物語へ
私は大学時代、公認会計士を目指して2年間学びました。
その夢は叶いませんでしたが、会計や経理、原価計算や財務といった数字の世界に触れ、
ビジネスの営みがそのまま数字に映し出されることの面白さと美しさに惹かれました。
その後、社会人として9年間、製造業の経理部門で現場と実務を学び、
そして独立してからの17年間、自分の事業で数字と向き合い、結果を出し続けてきました。
会計士としての私の道はそこには見つからなかったかもしれません。
しかし今こうして中小企業診断士として、それとはまた別のやり方でお役に立てる─
誰かの道標になれるような活動ができるのであれば、とても嬉しく思います。
なぜこのシリーズを始めたのか
会計数値は、古来よりビジネスの形がどれほど変化しても、常に「結果」として求められてきました。
そして同時に、それは改善や事業存続のための“糸口”となり、経営の未来を切り拓く突破口を与えてきました。
しかし私がこれまで出会ってきた多くの経営者は、
数字の重要性を理解しながらも、なかなか自分ごととして腹落ちできずにいました。
- 売上はあるのにお金が残らない
- 頑張っても利益が出ない
- どこから改善すべきか分からない
その答えは、数字が教えてくれます。
ただし、数字を“糸口”として正しく読み解く必要があるのです。
このシリーズの特徴
「会計数値の糸口から」では、単なる会計指標の解説にとどまりません。
具体的な業種ごとの経営者像(ペルソナ)を設定し、その人の悩みを数字からひも解く
─これが最大の特徴です。
- ペルソナのリアルな悩み
- 会計数値による分析
- 改善へのストーリー
- 読者への問いかけ
パン屋、美容室、学習塾、製造業など、業種ごとの実感を描写します。
粗利率、客単価、損益分岐点、稼働率、人件費率など、
悩みに直結する数値を選び出し、分かりやすく翻訳します。
数字をどう活かせば悩みが解決するか、具体的な工夫や仕組みを提案します。
「あなたのお店では、パン1個あたりいくら利益が残っていますか?」
といった問いを添え、自分ごと化を促します。
こうして、無機質に見える数字を「読む価値のある物語」へと変貌させます。
記事一覧
損益計算書(PL)、貸借対照表(BS)、キャッシュフロー計算書(CF)ごとに分かれた各記事担当が説明します。
数字はただの記号じゃありません。
私たちと一緒に、その裏に隠れた“経営の物語”を読み解いていきましょう。
あなたの経営の道標となりますように。

PL:うさぎ

BS:くま

CF:いぬ
PL(損益計算書)科目 ─ 日々の利益を映す鏡
担当:うさぎ
役割:売上や利益をチェックし、毎月の頑張りを評価する元気印。
性格:明るく前向き、親しみやすい。
こんにちは!PL担当のうさぎです。毎月の売上や利益を見て“よくやったね!”って応援するのが得意なんだ。でもね、売上が多くても利益が残ってなきゃ大変。あなたのお店はどうかな?
売上高営業利益率
営業利益を売上高で割った指標。本業の売上からどれくらい利益が残るかを示します。

客単価
売上を顧客数で割った指標。1人のお客様からどれだけ売上を得ているかを表します。

限界利益率
売上から変動費を引いた利益の割合。利益を生む構造を見極める重要な指標です。

人件費率
人件費を売上高で割った指標。売上に対して人件費がどれくらい負担になっているかを示します。

原価率
商品の仕入・製造原価を売上高で割った割合。高すぎると利益を圧迫する要因になります。

広告宣伝費率
広告宣伝費を売上高で割った指標。売上に対して広告費がどれくらいの割合を占めているかを示します。

販管費率
販売費および一般管理費を売上高で割った指標。売上に対して間接費がどれくらいの割合を占めているかを示します。

売上総利益率
売上総利益率は、売上から仕入原価を引いた利益の割合。商売の基本を映す、最もシンプルで奥深い指標です。

BS(貸借対照表)科目 ─ 経営の体力を測るものさし
担当:くま
役割:経営の体力や安全性を冷静にチェックする頼れる存在。
性格:落ち着いて堅実、じっくり考えるタイプ。
やあ、BS担当のくまだよ。数字の奥にある“体力”を見るのが僕の仕事。お客様が多くても安心とは限らない。自己資本比率を見れば、本当に倒れにくいかどうかわかるんだ。
自己資本比率
自己資本を総資本で割った指標。会社の安定性や倒産リスクの低さを示します。

流動比率
流動資産を流動負債で割った指標。短期的な支払い能力を測る目安です。

固定比率
固定資産を自己資本で割った割合。投資のバランスや財務健全性を示します。

当座比率
当座資産を流動負債で割る指標。現金化しやすい資産で短期負債をどこまで賄えるかを表します。

負債比率
総負債を自己資本で割った指標。借入依存度の高さや財務リスクを測ります。

固定長期適合率
固定資産を「自己資本+固定負債」で割った指標。長期資金でどれだけ安定的に固定資産をまかなえているかを示します。

有利子負債比率
利息のつく借入金が自己資本に対してどれくらいの割合かを示す指標。返済負担や資金繰りリスクを測る物差しです。

棚卸資産回転期間
在庫が現金に変わるまでの期間。回転が遅いと資金繰りを圧迫します。

CF(キャッシュフロー計算書)科目 ─ 資金繰りの実態を映す流れ
担当:いぬ
役割:お金の流れをチェックし、資金繰りの不安を解消する親身なサポーター。
性格:礼儀正しく面倒見がよい。
どうも、CF担当のいぬと申します。黒字なのにお金が足りない? はい、そんな声をよく耳にいたしますね。キャッシュフローを見れば、“本当に自由に使えるお金”がわかるんですよ。安心して経営できるように私と一緒に見ていきましょう。
営業キャッシュフロー
本業で稼いだ現金収支を示す指標。事業活動が健全かどうかを見極める鍵です。

フリーキャッシュフロー
営業CFから投資CFを差し引いた残高。自由に使える資金の余裕度を示します。

投資キャッシュフロー
将来の成長や事業拡大のために使った資金の流れを示す指標。設備投資やM&Aなど、経営判断の意図を読み解く鍵です。

3つの「口」がつながる世界
この「会計数値の糸口から」は、経営ラボで展開している
- 経営相談の窓口から(寄り添いの物語)
- 失敗事例の切り口から(学びの物語)


と並ぶ、第三のシリーズです。
3つが揃うことで、
相談・失敗・数字─経営の全方位をカバーする体系が完成します。
この会計数値の糸口からは、いわば数字理解の物語。ビジネスを数字で解きほぐし、その可能性を広げていくきっかけとしていただければ幸いです。
結びに
数字は冷たい記号ではありません。
それは、あなたの経営の歩みと未来を映す鏡です。
「会計数値の糸口から」が、あなたにとって経営の新しい”突破口”となることを願っています。
