他社の現場でWebの様々な業務経験を積んできました。その中で得られたもの、学び、中小企業診断士として役立てられることをご説明いたします。
私は音楽制作事業を立ち上げ、Webでの集客を行ってきました。その中で必要となる、Web関連業務をワンストップで身に着けてきました。
それとは別に、他社現場でもWeb関連業務を経験してきております。どのような現場でどのような経験をしてきたのか、ご説明いたします。
就業先の特徴と得られた経験、実績
以下、主な就業先と業務実績、必要とされたスキル、現場で感じたことなどをご説明いたします。
大手システムインテグレーター
Webデザイン、コーディングをメインとしたサイト運用・改善を担当しました。
Wordpressを複数活用したWebサイトを構築していましたが、担当者の入れ替わりが激しく、環境構築に課題がありました。Wordpressのバージョン管理が適切に行われないまま担当者が変わる、ということを繰り返したため、メンテナンスが容易でなくなり、カスタマイズも本来よりも大幅に手間・リスクのかかるやり方が必要となりました。
WordPressを動かしているのはPHPというプログラム言語です。そのため結果的にWordpressの内部的な知識やPHPのスキルが身に付きましたが、本来、WordpressはWebやプログラム言語の詳しい知識が無くてもテーマやプラグインを有効に活用することで運営・更新が容易にできるという点が最大のメリットであるCMSです。その点において十分な活用ができていないと感じられる現場でした。
規模が大きいこともあり意思決定のスピードが遅く、現場でのWeb運用において改善が進まないという問題点がなかなか解決されない現場でした。
一方で頻繁にオンラインミーティングを行いましたが、チームのオンラインコミュニケーションは円滑に行われており、意思疎通面での障壁はありませんでした。
この現場での経験は今後、DXを中小企業診断士として推進していくための一つのヒントになったと感じております。
中規模シンクタンク
アプリ開発に携わりました。
具体的にはアプリ画面のHTML,CSS,JavaScriptを活用したコーディングを担当しました。
アプリ開発の現場に入るのは初めての経験でしたが、チームの一員として多くの学びを得ました。
開発手法としてはアジャイル型で、細かい要件の修正等が頻繁に入ることでコーディングの対応も大変な部分もありましたが、良い経験だったと思います。
また私自身、個人的に将来アプリをリリースしたいと思い、規模は小さいですが開発を進めております。
中小企業でアプリ開発まで行うケースは多くはないかもしれませんが、経営コンサルティングを行う中でこれらの経験を活かせるような展開を考えてまいります。
ベンチャーWeb制作企業
Webデザイン、コーディング、画像編集をメインとしたサイト制作を担当しました。
ベンチャー企業らしい自由な社風が特徴的でしたが、メンバーのスキルはいずれも高く、toBのWebサイト制作がメイン業務であったこともあり、非常にスピード感を持った制作と正確なコーディングが求められる現場でした。
その分、社員への負担が大きくなりがちで、特にスキルの高い人材にはより多くの業務が割り当てられる傾向にありました。ベンチャー企業にありがちですが深夜まで及ぶ残業も恒常的に発生していました。結果として成長の度合いも差が付きますし、待遇面でも不公平感が出てくることも考えられます。Web人材が不足している現状の中、このような現場を経験してきたことで、中小企業診断士となった今、人材育成のあり方や社員のモチベーション維持・向上についても考えるべき課題が多いということを痛感した経験でもありました。
中堅建設業
Webディレクターとして就業しました。
ECサイトを新たに立ち上げるタスクの責任者として、以下業務を担当しました。
- サイトに載せる情報、コンテンツ検討
- ECサイト業者の選定、相見積もり、要件定義
- 役員会議でのプレゼン
- 業者担当者とのやり取り、指示
- レンタルサーバー選定、変更
ECサイトをゼロから立ち上げるのはある程度パッケージされた商品であっても決める事が多く、幅広い業務を行う必要がありました。
できる限りコストパフォーマンスを重視した形でのECサイト立ち上げをゼロから進めていくという責任の大きな立場でしたが、時に自ら手を動かしながら、無事に運用開始までこぎつけることができました。
現場にはWebやサーバー周りに詳しい人材がおらず、基本的に自分ですべてやらなくてはいけないという状況でもあり、構図としては「Webの知識がない社長+自分」という形で、今後中小企業診断士として経営コンサルティングを進めていく場合、似たような状況が多くなると考えます。そういう意味でも良い経験でした。
中小情報通信企業
Web運用のマネージャーとして就業しました。
自社サイトは既にありましたが、運用・更新面で課題を抱えており、フルリニューアルがまず最初のタスクとなりました。
社員にWebに詳しい人材が乏しかったため、今後の運用面を考え、Wordpressでのリニューアルを提案しました。現状のWebサイトのコンテンツを基本的に維持しつつ、デザイン面でのブラッシュアップを図り、リニューアルを行いました。画像編集やコーディングも自分で担当しています。
WordPressは最もユーザーの多いCMS(「Contents Management System:コンテンツ・マネジメント・システム」の略で、簡単に言えばホームページ制作・管理・運営をやりやすくしたもの)であるため、バージョンアップも多く行われ、バグや脆弱性の修正が頻繁に入るため信頼性にも優れています。WordPressを使用する場合、ゼロからホームページを作り上げることも可能ではありますが、可能な限り後の運用に負担を残さないことを考えた立ち上げ、設計が望ましいと考えます。
そういう意味でもWordpressのテンプレートとなるテーマの使用を推奨しており、特にユーザーの多いテーマを元にカスタマイズしていくことが、使い勝手の面でも安全性の面でも最善だと考えております。
この現場のように、「中小企業+Web人材不足」というケースは非常に多くあり、今後、私が中小企業診断士として経営コンサルティングをさせていただく際のモデルケースになりますので、この現場での経験を活かしたいと考えております。
Webプロデュースコンサルタントとしての歩み方
私はWebプロデュースコンサルタントの中小企業診断士として、Webの経験を強みとした経営コンサルティングを進めていく考えでおります。
Webにまつわる様々な業務をワンストップで経験してきたことは、Web周りの人材不足に悩む中小企業にとってお力になれることが多くあると考えております。
また、上記のように多様な現場で就業してきましたが、一見、大手システムインテグレーターのようにデジタル面での人材が豊富でWeb周りの業務は整備されているのではないか、と思われる企業であっても、現場に入ってみると意外と問題点が多くある、という気づきもあり、Web業務への対応の難しさ、日本全体のWeb人材不足を現実のものとして感じました。
Webサイトは問題点が表面化しづらく、最悪「表示されさえすれば」日々の業務はまわってしまう、ということが原因の一つかと考えます。しかし、実際には目に見えないところで見込み顧客への訴求が不十分だったり、ページの離脱が起こっていたり、競合に比べ差別化ができていない、といったことが起こっており、気が付けばその問題点が深刻なほど大きくなってしまっている。ということも少なくありません。
そういった問題が存在すること、それ自体を認識していない経営者の方もいらっしゃるかと存じます。まずは気づくことから始め、Web業務の改善を通じて事業の成長を描けるような、そんなサポートができれば嬉しく思います。
想い:芸は身を助く
本業である音楽制作事業の業績が落ち込むことは過去に何度もありました。
まず私が独立したのが2008年の6月なのですが、その直後となる2008年9月15日に米投資銀行リーマン・ブラザーズの経営破綻を機に、世界的な金融危機と不況に発展したリーマン・ショックが起こりました。消費が冷え込む中、創業当初の不安定な時期にきわめて大きな打撃を受けました。2011年3月には東日本大震災も起こり、日本経済に大きな打撃を与えたのもご承知の通りです。
また2020年にはコロナ禍となり、主力商品であるよさこい祭りのオリジナル楽曲制作において、お祭り等のイベントがゼロになったことで依頼もほぼゼロになってしまい、創業以来の売上激減となる最大の危機を迎え、その影響は翌年になっても消えず、過去に一度もなかった「月商ゼロ円」さえも経験しました。
家族を養っていく必要がある中、私も大変悩む日々を送りましたが、派遣としてWeb業務での副業を行うように決断し、結果これまで5社の現場にて就業してきました。
その中で私が強く感じてきたのはまさに「芸は身を助く」ということです。副収入も得られ、さらなる経験・スキルを身に着けることができ、自分にとって大変大きなメリットがありました。助く、どころではありません。
それだけ、Web業務が現在のビジネスにおいていかに重要かということを身をもって感じました。
Webの人材は多くの企業で不足しています。それだけ現代社会においてWebの果たす役割が大きいと言え、私が経験してきたようにそのスキルを身に着けることでどんな業界、業種であれ役に立てられるのがWebスキルであるとも言えます。
私自身の経験から、Webに精通したビジネスパーソンになることのメリットを伝えていけると考えております。それが中小企業でのWeb対応スキルの向上や、Web人材強化につながるサポートになれば嬉しく思っております。