「だいぞう」に学ぶ:ブランドの“顔”が顧客体験と経営を変える【診断ノート】 | ソング中小企業診断士事務所

「だいぞう」に学ぶ:ブランドの“顔”が顧客体験と経営を変える【診断ノート】

「だいぞう」に学ぶ:ブランドの“顔”が顧客体験と経営を変える【診断ノート】

動画で見る診断ノートの記事説明

※この動画は「診断ノート」全記事に共通して掲載しています。

企業のブランドは、もはや「価格」や「機能」だけでは差別化が難しい時代です。商品が似通い、サービスが均質化するなかで、顧客の心をつかむのは、むしろ「顔の見えるストーリー」や「共感を呼ぶ体験」です。
100円ショップ最大手のダイソーが、初の公式キャラクター「だいぞう」を発表したニュースは、一見かわいらしい話題に見えますが、実はブランド戦略の転換を象徴しています。世界中に展開する同社が、なぜ今このタイミングで“ブランドの顔”を打ち出したのか。その背景には、多様な顧客との接点を広げ、選ばれる理由を強化するための戦略的意図があります。
中小企業にとっても、「誰に、どんな体験を届けたいか」を視覚化・物語化することは、認知度向上だけでなく、採用や社員のモチベーションにも直結します。本稿では、この事例を入り口に、ブランドの「顔づくり」と顧客体験のデザインが、なぜ今、中小企業の競争力を左右するのかを考えます。

この記事を読むことで得られること

  • 均質化した市場で「親近感のある象徴(顔)」が選ばれる理由と、記憶に残る仕組みが理解できます
  • キャラクター・物語・多ブランド化を通じて顧客体験を設計し、認知・SNS拡散・採用/定着に効かせる具体像がつかめます
  • ローカル企業でも今すぐ始められる最初の一歩(象徴の定義/接点の洗い出し/小さな体験づくり)が明確になります

まず結論:ブランドの“顔”づくりは広告ではなく経営設計であり、顧客体験と採用まで一気通貫でデザインすることが価格競争を抜ける最短ルートです。

4つの体系で読む、井村の経営思想と実践
記事・ツール・コラム・思想─すべては一つの設計思想から生まれています。
現場・構造・感性・仕組み。4つの視点で「経営を届ける」全体像を体系化しました。

実践・口

経営相談の窓口から
失敗事例の切り口から
会計数値の糸口から

現場の声を起点に、課題の本質を捉える入口。
今日から動ける“実務の手がかり”を届けます。

時事・構造

診断ノート
経営プログレッション
 

経営を形づくる構造と背景を読み解きます。
次の一手につながる視点を育てる連載です。

思想・感性

日常発見の窓口から
迎える経営論
響く経営論

見えない価値や関係性の温度に光を当てます。
感性と論理が交差する“気づきの場”です。

実装・仕組み

わかるシート
つなぐシート
みえるシート

現場で“動く形”に落とし込むための仕組み群。
理解・共有・対話を支える3つの現場シートです。

  1. ブランドの顔づくりが競争優位を生む理由と事例(企業ブランディング・キャラクター活用)
    1. 市場の均質化とブランド親近性の重要性
    2. ダイソーの公式キャラクター「だいぞう」が示すブランド戦略
    3. 中小企業での応用可能性と具体的効果
    4. 採用と定着に及ぼすブランドの顔の影響
    5. ブランドの顔をつくることで得られる主なメリット
  2. 多ブランド戦略と顧客体験の進化が示す競争の方向性(体験型店舗リニューアル・ブランド集約)
    1. 都内最大規模の複合店舗リニューアルとブランド集約の狙い
    2. 店舗で提供する世界観と顧客にとっての訪問価値の再定義
    3. 多ブランド戦略による顧客セグメントの取り込みと価値軸の分化
    4. 中小企業への示唆と具体的な応用アイデア
    5. 多ブランド戦略で得られる主な示唆
  3. ローカル企業が学ぶブランドの顔と体験設計(顧客体験・採用ブランディング)
    1. 大手事例の学びとローカル企業への適用可能性
    2. 顔の見えるブランドをつくるための要素と具体例
    3. 顧客体験をデザインする視点と実践ポイント
    4. 人柄がブランドになる中小企業の強みと活かし方
    5. 採用・定着に効くブランド設計の重要性
    6. ローカル企業が取り組むべきブランド設計のチェックリスト
  4. ブランドの顔と体験を経営資源に変えるまとめ(経営戦略・採用ブランディング・顧客体験)
    1. ダイソーのだいぞうは経営戦略の一部としてのブランド化
    2. 中小企業にとっての実行可能性と強み
    3. 採用・定着に効くブランドの無形資産としての価値
    4. ブランドを経営の中心に据える意義
    5. 実践に移すための要点(すぐ始められるチェックリスト)

ブランドの顔づくりが競争優位を生む理由と事例(企業ブランディング・キャラクター活用)

市場の均質化とブランド親近性の重要性

かつて多くの消費財企業では、「安さ」「品ぞろえ」「立地の便利さ」が競争力の源泉でした。ところが、ネット通販やグローバル展開によって商品は均質化し、価格差も小さくなり、店舗の立地も決定的な差別化要因ではなくなりました。顧客はどこでも同じような商品を買える時代になり、選ばれる理由はむしろ「そのブランドに親しみや愛着を感じるかどうか」に移りつつあります。

ダイソーの公式キャラクター「だいぞう」が示すブランド戦略

こうした環境変化のなかで、ダイソーが初の公式キャラクター「だいぞう」を打ち出したのは偶然ではないと考えます。キャラクターは単なる“かわいいマスコット”ではなく、ブランドの価値や理念をわかりやすく象徴する存在です。親しみやすさを持ちつつ、SNSやイベントを通じてファンとの接点をつくり、認知度やロイヤルティを高める「顔」として機能します。

中小企業での応用可能性と具体的効果

中小企業にとっても、これは決して他人事ではありません。特に地域密着型の店舗や製造業においては、ブランドを抽象的に語るよりも、ビジュアルやストーリーで伝えることで、初めて顧客に“人となり”が届くというケースが少なくありません。

「だいぞう」のように親しみやすく覚えやすい象徴を持つことで、SNS上のシェアや口コミ、採用活動など、企業活動のさまざまな場面で効果を発揮します。

採用と定着に及ぼすブランドの顔の影響

さらに、近年の人手不足を背景に、社員の採用や定着にもブランドの「顔」は影響します。自分たちが働く企業に愛着や誇りを持てるかどうかは、待遇だけでなく、ブランドへの共感によっても左右されるからです。

ブランドの顔をつくることで得られる主なメリット

  • 認知度の向上と差別化(SNSやイベントでの接点拡大)
  • 顧客の親近感とロイヤルティ強化(ビジュアルとストーリーによる伝達)
  • 採用力の強化と従業員の定着促進(ブランド共感の醸成)
  • 口コミ・シェアの促進(覚えやすい象徴による拡散効果)

多ブランド戦略と顧客体験の進化が示す競争の方向性(体験型店舗リニューアル・ブランド集約)

都内最大規模の複合店舗リニューアルとブランド集約の狙い

ダイソーがキャラクター発表と同じ日に、都内最大規模となる複合店舗をリニューアルオープンしたことは象徴的です。
「DAISO」「Standard Products」「THREEPPY」という3ブランドを一つの空間に集約し、低価格の日用品から高品質志向の雑貨、ギフト向けの“かわいい”アイテムまで、幅広いニーズに応える体験型の店舗づくりを進めています。

店舗で提供する世界観と顧客にとっての訪問価値の再定義

この動きは単なる品ぞろえ拡大ではなく、顧客にとっての「訪れる理由」「選ぶ理由」を増やす試みです。オンラインでも買える時代にあえて店舗を訪れる価値をつくるには、商品に加えて、世界観や体験の提供が欠かせません。

多ブランド戦略による顧客セグメントの取り込みと価値軸の分化

多ブランド戦略は、単一ブランドではつかみきれない顧客層を取り込み、ライフスタイルの多様化に応える手段です。たとえば、

  • シンプルで上質な暮らしを求める層には「Standard Products」
  • トレンドやかわいらしさを重視する層には「THREEPPY」
  • 手軽さ・低価格を求める層には従来の「DAISO」

という形で、価格軸ではなく価値軸で市場を分け合うことが可能になります。

中小企業への示唆と具体的な応用アイデア

これは中小企業にとっても大きな示唆があります。規模の小さな企業でも、自社のコア顧客を起点に「その人たちが次に求める体験や価値」を丁寧に掘り下げることで、新たなブランドや商品ラインを生み出すチャンスがあるのです。

たとえば地域の老舗製造業が、新たに若年層向けのサステナブル商品ラインを展開する、老舗和菓子店が観光客向けの体験型店舗を開く――こうした発想も「多ブランド戦略」の一形態です。顧客の多様化に応じて、価値の切り口を複線化できる企業ほど、変化の時代に強いといえます。

多ブランド戦略で得られる主な示唆

  • 価値軸の分化で異なる顧客層を同時に取り込める
  • 店舗は商品以上に体験と世界観を提供する場になる
  • 中小企業でも顧客分析を起点に新ラインやブランドを創出できる
この文章が生まれた “背景” が気になる方へ
サービスの詳細や考え方は「初めての方へ」にまとめています。
▶︎ [初めての方へ]

この記事は「経営ラボ」内のコンテンツから派生したものです。
経営は、数字・現場・思想が響き合う“立体構造”で捉えることで、より本質的な理解と再現性のある改善が可能になります。
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ローカル企業が学ぶブランドの顔と体験設計(顧客体験・採用ブランディング)

大手事例の学びとローカル企業への適用可能性

大手企業のブランド戦略は、そのままでは中小企業にとって距離があるように見えるかもしれません。しかし、顧客の記憶に残り、心に届くブランドを育てる上での原則は同じです。

顔の見えるブランドをつくるための要素と具体例

まず重要なのは、「顔の見えるブランド」をつくることです。ロゴやキャラクター、創業者の物語、製品のこだわりなど、顧客が親近感を抱ける象徴があるかどうかが、選ばれる理由を形づくります。
例えば地域の工務店が職人たちの顔写真と一緒に「家づくりの哲学」を伝える、老舗和菓子店がキャラクターを通じて地元文化を物語る、こうした小さな工夫がブランドの“顔”となります。

顧客体験をデザインする視点と実践ポイント

次に、体験をデザインする視点です。店舗やECサイトの雰囲気、接客や購入後のフォローなど、顧客が接する一連の流れがブランドの印象を決定づけます。
「だいぞう」がフォトスポットやグッズを通じて顧客との接点を増やしているように、ローカル企業でも小さな体験の積み重ねが大きな差を生みます。

人柄がブランドになる中小企業の強みと活かし方

特に中小企業の場合、経営者やスタッフの人柄がブランド体験そのものになるケースも多く見られます。「誰から買うか」も価値の一部であることを忘れてはいけません。これを意識して発信し、顧客との距離を縮めることで、価格競争に巻き込まれない独自性を持つことができます。

採用・定着に効くブランド設計の重要性

そして最後に、ブランドは単に顧客を引きつけるためだけでなく、社員や採用における魅力づけにもつながるという点も見逃せません。共感できるストーリーや象徴がある企業は、働く人にとっても誇りを持てる職場となり、人材確保の課題が続く時代において大きな武器になります。

ローカル企業が取り組むべきブランド設計のチェックリスト

  • 象徴の有無(ロゴ・キャラクター・創業ストーリー)
  • 顧客接点の設計(店舗・EC・接客・購入後フォロー)
  • 体験の積み重ね(フォトスポット・グッズ・イベント)
  • 人柄の発信(経営者・スタッフの見せ方)
  • 採用ブランディング(共感を呼ぶストーリーの整備)

ブランドの顔と体験を経営資源に変えるまとめ(経営戦略・採用ブランディング・顧客体験)

ダイソーのだいぞうは経営戦略の一部としてのブランド化

ダイソーの「だいぞう」発表は、単なる話題づくりではなく、顧客との接点を強化し、ブランド価値をわかりやすく届けるための経営戦略の一環でした。
価格や品ぞろえだけでは差がつきにくい時代において、人の記憶に残る“象徴”を持つことは、企業が選ばれ続ける理由のひとつになります。

中小企業にとっての実行可能性と強み

中小企業にとっても、これは遠い世界の話ではありません。むしろ、顔が見えやすい規模だからこそ、ブランドの「顔」とそれを通じた顧客体験の価値をつくりやすいとも言えます。
地域密着の小売店、製造業、サービス業においても、顧客との関係性を深めるための象徴や物語があるかどうかは、価格競争を超えた強みを生む基盤になります。

採用・定着に効くブランドの無形資産としての価値

加えて、こうしたブランドの象徴は採用や人材定着にもつながる無形資産です。社員が誇りを持ち、共感できるブランドを育てることは、これからの人手不足時代を乗り越えるためにも不可欠です。

ブランドを経営の中心に据える意義

ブランドは、広告宣伝のためだけに存在するものではありません。経営のあらゆる場面で長期的な価値をもたらす資源です。顧客・社員・地域から「愛され、選ばれる存在」になるために、自社にふさわしい顔づくりと体験のデザインを、改めて考えるタイミングではないでしょうか。

実践に移すための要点(すぐ始められるチェックリスト)

  • 自社の「象徴」を明確にする(ロゴ・キャラクター・物語)
  • 顧客が体験する接点を洗い出す(店舗・EC・接客・アフターケア)
  • 採用メッセージにブランドストーリーを組み込む
  • 小さな体験の積み重ねでブランド印象を強化する(フォトスポット・グッズ等)

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