第12回|理念は“耳”から浸透する─音でつくるブランド記憶設計【響く経営論】 | ソング中小企業診断士事務所

第12回|理念は“耳”から浸透する─音でつくるブランド記憶設計【響く経営論】

第12回|理念は“耳”から浸透する─音でつくるブランド記憶設計【響く経営論】

社内に掲げた理念。
配ったクレドカード。
朝礼での唱和。

──それでも、
なぜか現場の行動が変わらない。

そんな違和感を感じている経営者は、
少なくありません。

今は「見えない」「読まれない」時代です。
情報が溢れすぎて、
人はもはや“目で追うこと”に疲れています。

その一方で、
私たちは日常的に

・音楽を聴き
・動画の音声を聞き
・無意識にラジオや配信を流し

“耳”から大量の情報を受け取っています。

そして実は、
人の感情を動かすのは
「読むこと」よりも
「聞くこと」のほうが圧倒的に強い。

本稿のテーマは、ここにあります。

理念は
“目”から浸透するものではなく
“耳”から染み込むものではないか。

音楽や音声を使って、
理念や価値観を
“思い出してしまう存在”に変える。

それは、
これまでの「伝える経営」から
「響かせる経営」へのシフトです。

今回は、
音を使った新しいブランド設計の考え方を通して、

理念を
「読むもの」から
「無意識に再生されるもの」へ変える方法
一緒に考えていきます。

元となった記事

理念は“耳”から浸透する─中小企業のブランド構築に効く音楽戦略
みなさんこんにちは!ソングメーカー代表兼制作者、中小企業診断士の井村淳也です。経営者の方とお会いするたびに思うこと。ビジネスにとってのブランドとは何か、それを表現し、伝えていけばいいのか。そんな悩みを持つ経営者の方はとても多い。――これは診...

この記事を読むことで得られること

  • 理念が浸透しない原因を「伝え方」ではなく「思い出され方」の問題として整理できます
  • 情報過多の時代に、理念を“目で読ませる”発想が限界を迎えている理由が腑に落ちます
  • 音楽・音声を使って理念を「無意識に再生される記憶」に変えるための設計ステップが見えてきます

まず結論:理念は掲示して“伝える”ものではなく、音で結びつけて“思い出される状態”を設計して初めて現場の行動に変わります。

4つの体系で読む、井村の経営思想と実践
記事・ツール・コラム・思想─すべては一つの設計思想から生まれています。
現場・構造・感性・仕組み。4つの視点で「経営を届ける」全体像を体系化しました。

実践・口

経営相談の窓口から
失敗事例の切り口から
会計数値の糸口から

現場の声を起点に、課題の本質を捉える入口。
今日から動ける“実務の手がかり”を届けます。

時事・構造

診断ノート
経営プログレッション
 

経営を形づくる構造と背景を読み解きます。
次の一手につながる視点を育てる連載です。

思想・感性

日常発見の窓口から
迎える経営論
響く経営論

見えない価値や関係性の温度に光を当てます。
感性と論理が交差する“気づきの場”です。

実装・仕組み

わかるシート
つなぐシート
みえるシート

現場で“動く形”に落とし込むための仕組み群。
理解・共有・対話を支える3つの現場シートです。

  1. ◆第1章|経営翻訳理念は「掲示物」ではなく「再生される記憶」である
    1. ■「見る理念」と「聞く理念」の決定的な違い
    2. ■ 元記事の主張整理
    3. ■ 経営翻訳|理念とは“思い出され方”の設計である
  2. ◆第2章|なぜ理念は届かなくなったのか情報過多時代の「見られない問題」
    1. ■ ポスター・社内報・スローガン疲れ
    2. ■ 文字情報が“背景ノイズ”化している現実
    3. ■ 視覚頼りの限界
    4. ■ 経営翻訳|「伝えた」≠「残った」
  3. ◆第3章|聴覚の力なぜ“耳”から入る情報は残りやすいのか
    1. ■ 音は無意識に入ってくる
    2. ■ 作業しながらでも届く
    3. ■ 感情と直結する知覚経路
    4. ■ 記憶定着率の違い
    5. ■ 経営翻訳|音は“抵抗なく入るメディア”
  4. ◆第4章|音でつくるブランド記憶PRソング・音声・サウンドの戦略的活用
    1. ■ PRソングの役割を再定義する
    2. ■ 「社歌」ではなく「音のブランド資産」
    3. ■ 店舗・動画・SNSとの連動
    4. ■ “聞いた瞬間に会社を思い出す”状態の設計
    5. ■ 経営的に見た「音の戦略性」
  5. ◆第5章|実践設計理念を“耳”から浸透させる3ステップ
    1. ① 言語化理念・価値観を「音にしやすい言葉」へ整理する
    2. ② 音声化歌・ナレーション・BGMなどへ変換する
    3. ③ 接触設計どこで・どの頻度で“聞かせるか”を設計する
    4. ■ 3ステップの全体像
    5. ■ ポイントは「頑張らせない設計」
  6. ◆第6章|変化の兆し音の導入で起きる組織の変化
    1. ■ 理念を「説明しなくてよくなる」
    2. ■ 新人の立ち上がりが早くなる
    3. ■ 社外にも“らしさ”が伝わりやすくなる
    4. ■ ブランドが“感覚”として共有される
    5. ■ 経営視点で見た本当の成果
  7. ◆第7章|まとめ+問い理念は“見るもの”から“聞いて思い出すもの”へ
    1. ■ 音は経営の武器になる
    2. ■ 文化とは“再生され続ける記憶”
    3. ◆ 読者への問い

◆第1章|経営翻訳理念は「掲示物」ではなく「再生される記憶」である

元記事では、理念がなかなか浸透しない理由として、こんな問題提起がなされています。

  • 掲示しているだけ
  • 配布して終わり
  • 説明したつもりになっている

つまり多くの企業で、理念は「見える場所」に置かれているだけで、実際の行動や判断と結びついていない。

ここに、理念浸透が進まない最大の原因があります。

■「見る理念」と「聞く理念」の決定的な違い

私たちはこれまで、

  • 壁に貼る
  • 資料に載せる
  • 社内報に書く

といった“視覚頼り”の浸透施策を続けてきました。

しかし現実はどうでしょうか。

  • 忙しくて読まれない
  • 見えているけど意識されない
  • 「知ってる」で終わる

理念は背景の風景の一部になり、誰の記憶にも残らなくなっていきます。

一方で、「聞く」情報はまったく違います。

  • 作業しながらでも入ってくる
  • 感情と一緒に記憶されやすい
  • 繰り返し再生される

音や声は、こちらが意識しなくても勝手に入ってきてしまうメディアです。

つまり、

「見る理念」= 意識しないと入らない
「聞く理念」= 意識しなくても入ってくる

この違いは、経営上、決定的です。

■ 元記事の主張整理

元記事では、

  • 理念は“理解”させるものではない
  • “思い出される状態”をつくることが重要
  • 音は記憶と感情に直結する

という点が強調されていました。

ここで重要なのは、
理念を「伝えるか」ではなく「どう思い出されるか」です。

人は、

  • 困ったとき
  • 迷ったとき
  • 判断を迫られたとき

過去の記憶を無意識に呼び起こします。

その瞬間に、

  • あの曲
  • あのフレーズ
  • あの場面

が浮かぶかどうか。

これが、理念が生きているかどうかの分かれ目です。

■ 経営翻訳|理念とは“思い出され方”の設計である

ここまでを経営視点で翻訳すると、こう言い換えられます。

理念とは「何を書いてあるか」ではなく「どう思い出されるか」の設計である。

つまり、

  • どんな場面で
  • どんな感情と一緒に
  • どんな形で

理念が再生されるのか。

ここまで設計して、初めて「浸透」と言えます。

壁に貼っただけの理念は、情報でしかありません。

しかし、

  • 音楽と結びつき
  • 体験と一緒に記憶され
  • 感情とセットで残った理念は

行動を生む“記憶”になります。

理念は、掲示物ではありません。

再生される記憶資産です。

ここを設計できるかどうかで、理念は
「飾り」になるか「武器」になるかが決まります。

◆第2章|なぜ理念は届かなくなったのか情報過多時代の「見られない問題」

かつては、
壁に貼った理念や配布したクレドカードだけでも、
ある程度の効果がありました。

しかし今は違います。

私たちは毎日、

  • スマホ通知
  • メール
  • SNS
  • 社内チャット
  • 業務連絡

膨大な情報に囲まれて生きています。

この状態で、
「理念のポスターが目に入る」
と期待すること自体、もはや無理があります。

■ ポスター・社内報・スローガン疲れ

現場の本音は、こうではないでしょうか。

  • 「また新しいスローガンか」
  • 「どうせ変わらない」
  • 「きれいごとだよね」

これが、スローガン疲れです。

  • 毎年変わる標語
  • キャンペーンごとの合言葉
  • 一時的な掛け声

繰り返されるほど、社員の中では

「どうせ一過性」

というフィルターがかかってしまいます。

結果、理念は“真剣に向き合う対象”ではなく、
受け流す情報になっていきます。

■ 文字情報が“背景ノイズ”化している現実

人の脳は、すべての情報を処理できるわけではありません。

重要でないと判断した情報は、
自動的に無視する仕組みを持っています。

  • いつも貼ってあるもの
  • 毎日見る文字
  • 変化のない情報

これらは、「背景の風景」として処理されます。

つまり、

  • 見ている
  • でも認識していない
  • 記憶にも残らない

この状態です。

理念ポスターがまさにそれ。

「そこにある」ことと「届いている」ことはまったく別なのです。

■ 視覚頼りの限界

ここで、多くの企業が陥る罠があります。

  • 「もっと大きく貼ろう」
  • 「デザインを変えよう」
  • 「目立つ色にしよう」

つまり、さらに“視覚”に頼る方向へ進んでしまう。

しかし、根本問題はそこではありません。

問題は、

そもそも“見られる前提”が崩れていること

です。

どれだけ目立たせても、人は

  • 忙しい
  • 情報過多
  • 注意力が分散

しているため、見てくれません。

これが、現代のリアルです。

■ 経営翻訳|「伝えた」≠「残った」

ここまでを経営視点で翻訳すると、こうなります。

伝えたことと残ったことはまったく別である。

・配布した
・説明した
・掲示した

これらはすべて
「伝えた側の行為」です。

しかし、

  • 覚えているか
  • 思い出せるか
  • 行動に出るか

これは
「受け取った側の変化」です。

ここを混同すると、

  • 「ちゃんと伝えたのに」
  • 「説明したのに」

という、
経営側の自己満足で終わってしまいます。

◆第3章|聴覚の力なぜ“耳”から入る情報は残りやすいのか

これまで、私たちは「見る」ことに過度に頼ってきました。

しかし実際には、
人の記憶に残りやすいのは“聞いた情報”です。

その理由を、構造的に見ていきましょう。

■ 音は無意識に入ってくる

視覚情報は、自分で“見る”と決めないと入ってきません。

ポスターも資料も、意識を向けなければ存在しないのと同じです。

一方、音は違います。

  • BGM
  • 周囲の会話
  • 動画の音声

これらは、こちらが拒否しない限り入ってきます。

つまり音は、

「受け取ろう」と思っていなくても勝手に届くメディア

なのです。

この“侵入性”こそが、経営上の大きな武器になります。

■ 作業しながらでも届く

もう一つの大きな特徴は、マルチタスク耐性です。

  • パソコン作業
  • 移動中
  • 片付け
  • 準備作業

こうした“手が塞がっている時間”でも、耳は空いています。

だから、

  • ラジオを聴く
  • ポッドキャストを流す
  • 音楽をかける

といった行動が日常的に行われているのです。

これは経営的に見ると、

“隙間時間に入り込める”唯一のメディア

とも言えます。

理念を「わざわざ読む」時間は取れなくても、
“聞く”なら入る。

ここに、大きな可能性があります。

■ 感情と直結する知覚経路

聴覚の最大の強みは、感情と直結していることです。

言葉は、

  • 意味を理解し
  • 頭で処理し
  • その後に感情が動く

という順番です。

しかし音は違います。

  • メロディ
  • 声のトーン
  • リズム

これらが、意味を考える前に感情を動かします。

だから、

  • 理由もなく泣く
  • 無意識にテンションが上がる
  • 懐かしさが込み上げる

といった反応が起きる。

音は、

理性を素通りして感情に届くメディア

なのです。

これは、理念浸透において決定的な違いになります。

■ 記憶定着率の違い

人は、

  • 読んだこと
  • 聞いたこと
  • 体験したこと

で、記憶の残り方が大きく変わります。

特に、

感情が動いた“聞いた記憶”は、非常に長く残ります。

  • あのとき聞いた言葉
  • あの曲
  • あの声

こうした記憶は、何年経っても鮮明によみがえります。

つまり、

  • 文字=情報として消える
  • 音=体験として残る

この差が、理念浸透の成否を分けます。

■ 経営翻訳|音は“抵抗なく入るメディア”

ここまでを経営視点で翻訳すると、こう言えます。

音は抵抗なく入るメディアである。

  • 見なくていい
  • 読む必要もない
  • 意識しなくても入ってくる

それでいて、

  • 感情に届き
  • 記憶に残り
  • 行動に影響する

これほど経営向きのメディアは他にありません。

理念を「伝えよう」と頑張るほど、人は構えてしまいます。

しかし音なら、

気づいたら染み込んでいた

という状態をつくることができる。

これこそが、
“耳から浸透する経営”の本質です。

◆第4章|音でつくるブランド記憶PRソング・音声・サウンドの戦略的活用

ここまでで、

  • 理念は“思い出され方”の設計
  • 音は抵抗なく感情に届くメディア

であることを見てきました。

では、その「音」をどうブランドづくりに使うのか。
ここが、この章のテーマです。

■ PRソングの役割を再定義する

まず大前提として、PRソングの役割を根本から見直す必要があります。

多くの企業では、

  • イベント用
  • 動画のBGM
  • キャンペーン施策

といった“装飾”の位置づけで音楽を使っています。

しかし、本来の役割は違います。

PRソングとは、会社の価値観や物語を“感情と一緒に記憶させる装置”です。

つまり、

  • 何を大切にしている会社か
  • どんな想いで仕事をしているか
  • どんな空気の組織か

これを説明せずに伝える手段。

だからこそ、

  • 社員が口ずさめる
  • 自然に覚えてしまう
  • 聞くだけで空気を思い出す

この状態を目指します。

■ 「社歌」ではなく「音のブランド資産」

ここで重要なのが、「社歌」という枠を外すことです。

社歌という言葉には、

  • 古い
  • 形式的
  • 歌わされるもの

といったネガティブな印象がつきまといます。

しかし実際にやっていることは、
ブランドの“音のロゴ”をつくっているのと同じです。

  • 聞けば会社が浮かぶ
  • メロディで思い出される
  • 感情ごと記憶される

これは、ロゴやカラー以上に強いブランド資産になります。

つまり、

「社歌」ではなく“音のブランド資産”

この認識に変えるだけで、音楽の使い方が一段レベルアップします。

■ 店舗・動画・SNSとの連動

音の価値は、使い続けて初めて資産化します。

そのためには、

  • 店舗BGM
  • 採用動画
  • YouTube
  • SNSリール
  • イベント
  • 社内研修

こうした場面で一貫して同じ音を使うことが重要です。

これにより、

  • 何度も耳に入る
  • 場面ごとに感情と結びつく
  • 記憶が重なっていく

という状態が生まれます。

音 × 体験 × 繰り返し = ブランド記憶

単発で使うのではなく、
「生活導線に組み込む」

ここが、戦略と演出の違いです。

■ “聞いた瞬間に会社を思い出す”状態の設計

最終ゴールは明確です。

曲を聞いた瞬間に会社が浮かぶ状態

これができると、

  • 広告を打たなくても
  • 説明しなくても
  • 勝手に思い出される

という状態になります。

例えば、

  • あのメロディ=あの会社
  • あの声=あの組織
  • あのフレーズ=あの価値観

こうした“条件反射”レベルの想起。

これこそが、ブランド構築の理想形です。

■ 経営的に見た「音の戦略性」

音を戦略的に使うとは、

  • センスの話ではない
  • 流行の話でもない
  • 音楽性の話でもない

「記憶設計」の話です。

  • どう思い出されたいか
  • どんな感情で記憶されたいか
  • いつ再生されたいか

ここまで考えて音を設計した企業だけが、

“音で選ばれる会社”になります。

音は、飾りではありません。

経営資産です。

◆第5章|実践設計理念を“耳”から浸透させる3ステップ

音の力が強いことは分かっても、
「じゃあ、どう始めればいいのか?」
ここが一番の悩みどころです。

感覚論ではなく、
誰でも取り組める設計手順として整理します。

① 言語化理念・価値観を「音にしやすい言葉」へ整理する

最初にやるべきは、
理念の“翻訳”です。

そのまま歌詞にできる理念は、ほとんど存在しません。

多くの場合、

  • 抽象的すぎる
  • 長すぎる
  • 経営用語っぽい
  • 感情が見えない

こうした状態になっています。

そこで必要なのが、

  • 現場の言葉に置き換える
  • 行動レベルに落とす
  • 感情が浮かぶ表現にする

例えば、

「顧客第一」
ではなく

「困ったら、先に動く会社」

のように、
“情景が浮かぶ言葉”に変換する。

これが言語化フェーズです。

重要なのは、
“きれいな言葉”ではなく
“思い出せる言葉”にすること。

② 音声化歌・ナレーション・BGMなどへ変換する

次のステップが、音声化です。

ここで初めて、

  • 語り
  • リズム
  • メロディ

を使っていきます。

音声化といっても、必ずしも「歌」である必要はありません。

  • ナレーション
  • 社員の声
  • 短いフレーズ音源
  • BGMに言葉を重ねる

など、会社の文化に合った形でOKです。

大切なのは、

感情が動くかどうか

上手いかどうかではなく、
“その会社らしいか”

  • 社員の声が入っている
  • 実体験が元になっている
  • リアルな言葉が使われている

こうした要素があるほど、
音は“自分ごと”になります。

③ 接触設計どこで・どの頻度で“聞かせるか”を設計する

音は、繰り返されて初めて定着します。

だから重要なのが、
「使い方の設計」です。

例えば、

  • 朝礼の前に流す
  • 動画の冒頭に入れる
  • 店舗BGMに混ぜる
  • イベントのオープニングで使う
  • 新人研修で必ず流す

つまり、

“聞かないと通れない動線”に組み込む

これが接触設計です。

ポイントは、

  • 特別な場だけで使わない
  • 日常に溶け込ませる
  • 意識させずに触れさせる

こうして、

  • 何度も耳に入り
  • 場面と感情が結びつき
  • 気づいたら覚えている

という状態をつくります。

■ 3ステップの全体像

改めて整理すると、

言語化
理念を“音にしやすい言葉”へ翻訳

音声化
感情が動く形に変換

接触設計
日常動線に組み込む

この流れで、

理念 → 音 → 感情 → 記憶 → 行動

という回路が完成します。

■ ポイントは「頑張らせない設計」

理念浸透で一番やってはいけないのが、

  • 覚えさせる
  • 暗記させる
  • 唱和させる

といった努力依存型設計です。

音の強みは、

頑張らなくても入ってくる

こと。

だからこそ、

  • 自然に流れる
  • 気づいたら口ずさんでいる
  • 勝手に思い出す

この状態を目指します。

理念は、
教えるものではありません。
染み込ませるものです。

次章では、
この設計を入れた組織で実際に起きる変化を見ていきます。

◆第6章|変化の兆し音の導入で起きる組織の変化

音を使った理念浸透は、
すぐに数字で成果が出る施策ではありません。

しかし、
組織の“空気”が確実に変わり始めます。

その変化は、意外なところから現れます。

■ 理念を「説明しなくてよくなる」

まず起きるのが、
理念をいちいち説明しなくて済む状態です。

これまでは、

  • 「うちはこういう会社だから」
  • 「理念的にはこうだから」

と、言葉で補足し続けていたものが、

「あの曲みたいな感じね」

で通じるようになります。

音には、

  • 価値観
  • 温度感
  • 空気
  • らしさ

が一瞬で詰まっているからです。

結果として、

  • 会話が短くなる
  • 理解が早くなる
  • 共通認識がズレにくくなる

理念が
“説明”から“共有感覚”に変わる瞬間です。

■ 新人の立ち上がりが早くなる

音の効果が特に大きく出るのが、新人教育です。

新人は最初、

  • この会社はどんな雰囲気か
  • 何を大事にしているか
  • どう振る舞えばいいか

が分からず、常に様子見をしています。

そこで、

  • 研修で曲が流れる
  • 動画にその音が使われている
  • 朝礼で自然に流れる

こうした接触があると、

「あ、これが“この会社らしさ”なんだ」

と、感覚で理解できます。

結果として、

  • 空気を読むのが早くなる
  • 行動がズレにくくなる
  • 馴染むスピードが上がる

文字で教えるより、
圧倒的に早いオンボーディングです。

■ 社外にも“らしさ”が伝わりやすくなる

音の効果は、社内だけに留まりません。

  • 動画
  • SNS
  • イベント
  • 店舗

こうした場面で同じ音が使われていると、

  • なんとなく覚えている
  • 聞くとあの会社だと分かる
  • 雰囲気まで思い出せる

という状態が生まれます。

これは、
説明していないのに伝わっている状態です。

つまり、

  • 言葉で語らず
  • ストーリーを説明せず
  • 機能を並べなくても

“感じ取られている”

これが、本物のブランディングです。

■ ブランドが“感覚”として共有される

最終的に起きる変化が、
ブランドが“理解”から“感覚”へ変わることです。

  • 好き
  • 安心
  • 応援したい
  • なんか良い

こうした感情は、理屈ではありません。

音は、

  • その感覚を呼び起こし
  • 何度も再生し
  • 無意識に定着させます

結果として、
ブランドが“感覚”として共有されるようになります。

■ 経営視点で見た本当の成果

音導入の本当の価値は、

  • 再生数
  • 再生時間
  • 話題性

ではありません。

  • 理念を説明しなくて済む
  • 新人が早く馴染む
  • 社外に勝手に伝わる

この状態こそが、
経営インフラが整った証拠です。

◆第7章|まとめ+問い理念は“見るもの”から“聞いて思い出すもの”へ

ここまで見てきたように、
理念浸透のやり方は、確実に時代とともに変化しています。

かつては、

  • 壁に貼る
  • 冊子を配る
  • 朝礼で唱和する

といった「見る・読む」前提の設計でも、ある程度は機能していました。

しかし今は、

  • 情報過多
  • 注意力の分散
  • 文字への疲労

こうした環境の中で、
“読まれない前提”で設計しなければ届きません。

理念は、
「見せるもの」から「思い出されるもの」へ
変わる必要があります。

■ 音は経営の武器になる

本稿で繰り返しお伝えしてきた通り、
音は単なる演出ではありません。

  • 無意識に入ってきて
  • 感情に直結し
  • 記憶に残り
  • 行動に影響する

これほど経営向きのメディアは他にありません。

だからこそ、

音は経営の武器になる

と言い切れます。

広告費をかけなくても、
説明し続けなくても、
勝手に思い出される状態をつくることができる。

これは、中小企業にとって極めて強力な戦略です。

■ 文化とは“再生され続ける記憶”

文化とは何か。

それは、

  • 制度でも
  • ルールでも
  • マニュアルでもありません。

文化とは、何度も再生され続ける記憶です。

  • どんな場面を思い出す会社か
  • どんな感情がよみがえる組織か
  • どんな音と結びついているか

ここが、その会社の「らしさ」を決めます。

理念は、紙の上ではなく、
人の中に残って初めて意味を持つ。

◆ 読者への問い

あなたの会社の理念は、

「読まれていますか?」

それとも、

「思わず口ずさまれていますか?」

もし、

  • 説明しないと伝わらない
  • 覚えさせないと出てこない

状態だとしたら、
それはまだ“情報”のままかもしれません。

理念は、
読むものではなく、思い出してしまうもの。

その設計、
できているでしょうか。

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