動画で見る失敗事例の切り口からの記事説明
※この動画は「失敗事例の切り口から」全記事に共通して掲載しています。
企業理念を浸透させたいと考え、外部研修に多額の費用と時間を投じたものの、現場では何も変わらなかった――。そんな苦い経験をした中小製造業の経営者がいます。本記事では、その失敗の背景と要因を明らかにするとともに、もし最初からソング中小企業診断士事務所が関わっていたらどのような支援ができたのかを、対話形式で紹介します。


設定:理念を大切にしたいと考えながらも、外部研修に依存した結果、現場に浸透しないまま終わってしまった企業。改善を目指し、経営者が井村に相談を持ちかける場面から物語が始まります。
登場人物と企業背景
今日はご相談いただきありがとうございます。まずは、会社の状況と、いま一番お悩みのことをお聞かせいただけますか。
私は父から会社を引き継いで10年ほどになります。創業は50年近く前で、今は従業員が30名ほど。主に精密部品を作っていて、地元ではそこそこ知られた会社です。ここ数年は売上は横ばい、利益もギリギリ。そんななかで、次の成長のためには会社の方向性を明確にして、社員が一体感を持って動けるようにしたいと考えました。
その思いから“理念”に力を入れようと?
そうです。自分なりに新しい経営理念を作り直しました。『技術で地域を支え、働く人が誇りを持てる会社へ』というものです。最初は社員も『いい言葉ですね』と頷いてくれて…。そこで外部の研修会社を入れて、全員に理念研修を受けてもらいました。
なるほど。研修後はどんな変化がありましたか?
そのときは盛り上がったんです。研修中は“これから会社が変わるかも”という期待もありました。でも、日常業務に戻ると、結局以前と同じ。現場は納期と目の前の仕事に追われて、理念の話はどこかへ消えてしまいました。
現場には“理念はお題目”という空気が残ってしまったのですね。
ええ…。ベテラン社員は『そんなの口先だけだろ』という雰囲気ですし、若手は“理想は立派でも現場は変わらない”と感じて、やる気を失ってしまって…。最近では離職も増えました。
理念に期待して動き始めたけれど、変化が根付かず、むしろ疲労感が残ったわけですね。
正直なところ、理念なんて意味があるのか、と気持ちが萎えかけています。でも、このままでは会社の将来が不安で…。社員がバラバラでは次の世代へつなげられない。そんな思いで、もう一度相談しようと決めました。
現場・構造・感性・仕組み。4つの視点で「経営を届ける」全体像を体系化しました。
問題点と失敗の経緯
先ほどのお話からすると、“理念は作ったけれど、日々の行動に結びつかず空回りしてしまった”という印象を受けました。もう少し詳しく、どのような取り組みを行ったのか、順を追って教えていただけますか。
はい。最初は社員の心をひとつにするには理念しかないと思い、思い切って外部の研修会社に相談しました。結構な費用をかけて、管理職も含めて全員に受講してもらいました。
研修の手応えはどうでしたか?
研修の場では盛り上がりました。ワークショップ形式で意見を出し合ったりして、“会社を変えていこう”という前向きな雰囲気もありました。でも、終わって日常業務に戻ると、現場は納期に追われるばかり。理念が話題に出ることは減っていきました。
理念が現場に浸透せず、結局“イベントで終わってしまった”わけですね。
そうなんです。半年くらい経つと、研修の内容を覚えている社員はほとんどいなくなりました。会議でも理念の話をすると、どこか白けた空気になってしまって…。やがて“また無駄なことにお金を使った”という声も聞こえてきました。
社員の期待が、逆に失望に変わってしまったわけですね。
はい。しかも理念づくりに力を入れていた時期は、業績面でも厳しく、現場は“そんなことより目の前の仕事を”という雰囲気でした。結果的に理念が現場の負担に見えてしまったんです。
なるほど。理念が“現場にとって意味のある言葉”ではなく、“上から与えられたスローガン”のように受け止められてしまったのですね。
ええ。私としては本気で会社を変えたかったんですが、うまく伝わらなかった。むしろ、理念という言葉が社員との距離を広げてしまったような気がします。
分岐点を探る─何が足りなかったのか
ここまでのお話で、研修自体は盛り上がったけれど、その後の現場で理念が活きなかったことがはっきりしましたね。では、改めて“何が足りなかったのか”を一緒に整理してみましょう。
やっぱり、現場に浸透させる取り組みが不足していたと思います。ただ、当時はとにかく理念をつくることがゴールだと勘違いしていました。
多くの企業で同じようなつまずきがあります。理念づくりはスタート地点であって、そこから日々の行動にどう落とし込むかが本当の勝負です。
たとえば、私自身も朝礼で何度か理念を読み上げたりはしましたが、現場の業務に直結する説明はできませんでした。社員にとっては“社長の好きな言葉”くらいの感覚だったと思います。
理念が“現場の言葉”になっていなかったのですね。もしその時点で社内の声を拾っていたら、どんな反応があったと思いますか?
『忙しいのにまた新しいことをやるのか』という不満が多かったでしょうね。でも本音を聞く機会もつくらず、むしろ社員の反応を怖がっていた節があります。
経営者として、理念を掲げるだけでなく、現場の不安や抵抗感に寄り添う姿勢が求められていたのかもしれませんね。理念はトップダウンで伝えるものではなく、現場と対話を重ねながら“自分たちの言葉”に育てていくものです。
当時の私は、それを急いでしまったのだと思います。理念を早く掲げれば社員の士気が上がると信じていました。
理念は種まきに近いものです。時間をかけて、現場が共感できる形に育てる必要があります。研修後の定期的なフォローや、現場との対話を組み込んでいたら、結果はかなり違っていたでしょう。
理念を現場に根付かせるために─ソング中小企業診断士事務所の支援
ここからは、もし当時の段階でご相談いただいていたら、どのようなサポートを用意できたかをお話しします。大切なのは、“理念を掲げた後の育て方”です。
やはり、そこですよね。作るまでは外部に任せたので立派なものができましたが、その先は完全に手探りでした。
私たちは、理念そのものをつくり直すよりも、“現場の言葉に翻訳する”ことを重視します。具体的には、次のようなステップを考えます。
- 現場ヒアリングとワークショップの実施 社員が“理念をどのように感じているか”を聞き取り、言葉のギャップを洗い出す。→現場の声をベースに、理念が日常の行動とどうつながるのかを一緒に整理。
- 行動指針の見える化 理念を抽象的なスローガンではなく、現場が日々の判断に使える具体的な行動例へ落とし込む。
- 定期的なフォローと対話の場づくり 月次のミーティングや、現場リーダーとの小規模な対話を通じて、理念が“絵に描いた餅”にならないよう伴走。
現場の声を拾う仕組みは、当時まったくありませんでした。もしそういう場があれば、社員の理解も変わっていた気がします。
理念はトップの熱意だけでは根付きません。社員が“自分たちのものだ”と感じられるようにすることが肝心です。たとえば、社員自身が作成に関わった行動指針は、驚くほど現場で使われるようになります。
確かに、自分が関わったものなら納得感が違いますね。
さらに、経営数値とのつながりも示していくと効果的です。たとえば、理念に沿った接客行動がリピーターを増やし、売上にどう影響するかを見える化することで、社員も“やる意味”を実感できます。
そこまで結びつける発想はありませんでした。理念はあくまで精神的なものだと思っていました。
数字と理念をつなぐことは、経営改善と組織づくりの両立に欠かせない要素です。私たちは、ExcelやGoogleスプレッドシートを活用しながら、こうした成果の可視化をサポートしています。難しいシステムではなく、現場で実際に使える仕組みを一緒に整えるのが特徴です。
改善によって得られる成果と、今後の展望
なるほど…。今のお話を聞いていると、理念は単なる“飾り”ではなく、現場の行動や数字に結びつけてこそ意味を持つのだと改めて実感しました。では、もしそこを改善できたら、どんな変化が期待できるのでしょうか。
一番大きいのは、社員の意識と行動が変わり、組織に一体感が生まれることです。それは、次のような形で成果として表れてきます。
- リピーターの増加や客単価の向上 理念をベースにした行動指針が浸透することで、接客・提案の質が上がり、顧客満足度が向上する。
- 現場からの改善提案が活発になる 理念を“自分ごと”として捉えた社員は、自発的に改善点を見つけ出し、提案するようになる。
- 採用・定着の強化 組織の方向性が明確で、働きやすい雰囲気が整うことで、社員が安心して長く働き続けられるようになる。
それは大きいですね。特に今、離職の防止と顧客の定着は経営にとって最優先の課題です。理念を中心に改善できるなら、やる価値は大いにあります。
さらに、こうした変化は財務面にも直結します。たとえば――
- 顧客維持による安定的な売上 新規顧客獲得のコストを抑えつつ、既存顧客からの継続的な売上が増える。
- スタッフの定着による採用コスト削減 人材流出が減り、教育コストや採用広告費が下がる。
- 将来への投資のための資金確保 利益体質が改善され、新規事業や設備投資に余力を回せる。
今のうちに手を打てば、じわじわと効いてくる改善ばかりですね。
はい。理念が現場に浸透することで、短期的な数値改善だけでなく、持続的な成長につながります。これは外から押しつけるのではなく、現場と一緒に作り上げるからこそ実現できる変化です。
少し先の未来に希望が持てる話ですね。これまで“理念”という言葉にはどこか距離を感じていましたが、行動や数字と結びつくと急に身近なものに思えてきます。
まさにそこがポイントです。理念は特別なものではなく、現場で働く人が日々の行動に活かせるときに初めて力を発揮します。私たちの役割は、経営者の思いを現場に届け、現場の声を経営に戻し、その循環を回し続けることだと考えています。
なるほど…。今回の失敗も、将来の成長のきっかけに変えられる気がします。次のステップとして、現場との対話を改めて始めるところから取り組みたいですね。
そうした一歩を踏み出せば、組織は確実に変わっていきます。理念が現場で“生きる”組織づくりを一緒に進めていきましょう。
復帰への具体策と一歩目
ここまで整理していただいて、問題点はだいぶ見えてきました。理念が“紙の上”で止まっていたことが、こんなにも広い影響を及ぼしていたのだと実感しています。ただ、どこから手をつけるべきか迷ってしまいます。
そう感じられるのは自然なことです。理念や価値観を行動に落とし込むには、一度に大きく変えるよりも、まずは“小さな一歩”を積み重ねる方が成功につながりやすいです。具体的には、次のようなステップ提案です。
- 現状の認識を共有する場を設ける 経営層と現場スタッフが同じテーブルにつき、現状の課題や理念に込められた本来の意図を話し合う。
- 優先順位を決める 理念をすぐに数字に結びつけるのではなく、まずは日々の行動や判断基準として活かせる分野を一つ選ぶ(例:顧客対応、社内コミュニケーション)。
- 小さな成功体験を作る 選んだ分野で行動基準を明確にし、改善が見えたら早めに成果を共有し、全員で喜び合う。
- 数値と感情をセットでモニタリング 改善後の売上や顧客満足度などの指標と同時に、現場の士気やお客様の声なども継続的に記録する。
- 改善サイクルを習慣化する 月1回などの定期ミーティングを通じて、改善策の振り返りと次の一歩を繰り返す。
なるほど。理念を最初から“全部”変えるのではなく、まずは身近なところから現場と一緒に取り組むわけですね。
はい。それが最も無理がなく、成果を出しやすい方法です。ソング中小企業診断士事務所では、こうした取り組みを“見える化”するために、Googleスプレッドシートなどを活用した簡単な進捗管理シートをよく導入します。
数字や結果を見える形にすることで、みんなが納得しやすくなるということですか。
その通りです。理念は目に見えませんが、そこから生まれる行動や成果は数字や言葉として記録できます。それを現場に返すことで“理念が動き始めている”ことを実感できます。
これまでの失敗は、方向性は正しいと思いながらも、現場との温度差を放置してしまったことにあると感じています。次は、そのギャップを埋める仕組みづくりから始めたいと思います。
その気持ちが何よりのスタートラインです。理念を現場に届けることは、単なるスローガンではなく、持続可能な成長のための基盤づくりです。ともに少しずつ前進していきましょう。
まとめと今後への展望
改めて振り返ると、私たちは“変わらなければ”という思いが強すぎて、理念を急いで入れ替えたことが最大の原因だったのかもしれません。
そうですね。変革の意志自体は素晴らしいことです。しかし、理念やビジョンは“現場に届いてこそ力になる”ものです。焦りが強いほど、トップダウンだけで進めてしまいがちです。
井村の総括「今回のケースから得られる教訓は、大きく3つにまとめられると思います。
- 理念は宣言ではなく、現場の行動に落とし込んで初めて意味を持つ 紙やスローガンではなく、日々の判断やコミュニケーションに浸透させることが重要です。
- 変革は小さな一歩から始めるのが最も効果的 すぐに目に見える成果を求めず、現場との共通認識づくりや対話の場づくりを優先することが、長期的な成長につながります。
- 理念と数値の両輪で進めることで、成長と安定を両立できる 理念の共有は感情的な満足だけでなく、離職率の低下や顧客満足度の向上といった数値的な成果へも結びついていきます。
大きな方向転換をしたことを後悔していたのですが、この失敗を踏まえたことで、次に活かせるヒントを得られた気がします。
その気づきこそが、今後の成長のスタートラインです。理念を“届ける”ことを重視しながら、現場と一緒に小さな改善を重ねていけば、組織は必ず強くなります。
そう考えると、今回の失敗は無駄ではなかったように感じます。まずは社員たちと一緒に話し合いの場を作り、現場に届く言葉を見つけていこうと思います。
素晴らしい一歩だと思います。次の成長は、現場と経営が同じ方向を見て歩むことで確実に見えてきます。
似たような失敗、あるいは今まさに直面している課題に、思い当たることはありませんか?
失敗を責めず、まず受け止め、構造を読み解く。
私の支援は、いつもここから始まります。
数字や理論の前に、現場の声を丁寧に聴き、意思決定の背景や組織の空気感を捉えながら、
「なぜこうなったのか」「今できる最適解は何か」を一緒に探っていきます。
失敗は誰にでも起きます。
重要なのは、そこからどう立て直すか。
私は、そのプロセスに寄り添う支援にこだわっています。
もし今、同じような課題に向き合っているなら、
一度、率直な対話の時間を持ってみませんか?
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