生徒数は増えているのに利益が伸びない─学習塾にとっての「客単価」【会計数値の糸口から / PL-第2回】 | ソング中小企業診断士事務所

生徒数は増えているのに利益が伸びない─学習塾にとっての「客単価」【会計数値の糸口から / PL-第2回】

生徒数は増えているのに利益が伸びない─学習塾にとっての「客単価」

4つの体系で読む、井村の経営思想と実践
記事・ツール・コラム・思想─すべては一つの設計思想から生まれています。
現場・構造・感性・仕組み。4つの視点で「経営を届ける」全体像を体系化しました。

実践・口

経営相談の窓口から
失敗事例の切り口から
会計数値の糸口から

現場の声を起点に、課題の本質を捉える入口。
今日から動ける“実務の手がかり”を届けます。

時事・構造

診断ノート
経営プログレッション
 

経営を形づくる構造と背景を読み解きます。
次の一手につながる視点を育てる連載です。

思想・感性

日常発見の窓口から
迎える経営論
響く経営論

見えない価値や関係性の温度に光を当てます。
感性と論理が交差する“気づきの場”です。

実装・仕組み

わかるシート
つなぐシート
みえるシート

現場で“動く形”に落とし込むための仕組み群。
理解・共有・対話を支える3つの現場シートです。

  1. 学習塾経営で収益を左右する客単価の真髄
    1. 客単価の定義と簡単計算式
    2. 学習塾経営で客単価が重要な理由
    3. 事例分析|客単価低迷が招く利益停滞
  2. 地域密着型学習塾の経営課題を客単価と利益率から紐解く
    1. 学習塾経営者のペルソナ設定と背景
    2. 塾経営における利益低迷の根本要因
    3. 経営者の課題意識と発言から見える悩みの構造
    4. この先のステップとして検討すべきポイント
  3. 学習塾の利益改善に必要な客単価と売上構造の正しい理解
    1. 客単価と損益構造を読み解くケーススタディ
    2. 固定費・変動費を整理することで見える収益構造
    3. 客単価1万円アップによる利益インパクト
    4. 生徒数偏重の落とし穴と経営リスク
    5. 数字に基づく経営判断がもたらすメリット
  4. 学習塾の客単価が低いまま続くことによる経営リスクと改善指針
    1. 人数依存型の経営構造に潜む危険性
    2. リスク①:人数増加による赤字の可能性
    3. リスク②:サービス品質の低下
    4. リスク③:広告・集客施策への投資不足
    5. リスク④:経営者の心理的・身体的疲弊
    6. 成長の罠から抜け出すために必要なアプローチ
  5. 学習塾の客単価を上げる4つの戦略施策と実践ポイント
    1. 季節講習の強化による単価向上施策
    2. オプション教材とオンライン補習による付加価値創出
    3. 成果報酬型講座の導入による単価プレミア化
    4. 価格改定をサービス強化とセットで行う
    5. 客単価改善の本質は「信頼」と「関係構築」
  6. 学習塾経営者が数字を味方につけるための実践ステップと客単価活用術
    1. 感覚ではなく構造で捉える経営の本質
    2. 客単価を可視化することで見える経営の改善余地
    3. 数字と施策の関係性を視覚化する「わかるシート」例
    4. 数字の見える化がもたらす3つの変化
    5. 経営者が“数字を読める”とは何か?
  7. 学習塾経営における客単価改善と利益構造の再発見
    1. 生徒数の増加がもたらす信頼と意義の拡大
    2. 成長実感と財務結果のギャップに潜む経営課題
    3. 「1人あたりの売上」から見直す利益設計
    4. 経営者への問いかけ:数字と向き合う準備ができていますか?

学習塾経営で収益を左右する客単価の真髄

PLうさぎ

PL担当:うさぎ
新しい生徒が増え、教室はにぎやかになっている。
数字を見ても、生徒数は確かに右肩上がり。
それなのに、思ったほど利益が伸びてこない─。
学習塾の経営者にとって、こんな状況は珍しくありません。
実はその理由をひも解くカギが「客単価」。
損益計算書には直接この項目は載っていませんが、売上を 「生徒数 × 客単価」 に分解すれば必ず姿を現します。
1人あたりから得られる売上をどう設計するか。
それが、同じ教室でも収益性に大きな差を生むのです。
今回は学習塾を舞台に、PLの背景に潜む「客単価」という数字を通じて、生徒数と利益のギャップを読み解いてみましょう。

客単価の定義と簡単計算式

客単価とは、1人の生徒が1か月に支払う平均金額を指します。

計算式は以下の通りです。

  • 客単価=月間売上 ÷ 生徒数

例えば、月間売上が400万円で生徒数が80名の場合、客単価は5万円/人となります。

学習塾経営で客単価が重要な理由

損益計算書には売上、費用、利益などの全体像しか現れませんが、売上を「単価×数量」に分解すると改善ポイントが明確になります。

売上分解 経営改善のヒント
生徒数(数量) 集客力の評価・強化ポイントの明確化
客単価(単価) 提供価値の再検討・価格設定戦略の見直し

事例分析|客単価低迷が招く利益停滞

ある学習塾では広告投資で生徒数が増加しましたが、利益は伸び悩んでいます。

  • 生徒数が増えた分だけ講師数を増員
  • 人件費が膨張し固定費が増大
  • 客単価が低いため売上増が費用増に飲み込まれる

このままでは事業拡大の努力が空回りし、収益性を確保できません。

地域密着型学習塾の経営課題を客単価と利益率から紐解く

学習塾経営者のペルソナ設定と背景

本事例は、郊外住宅地に20年間根ざした小規模学習塾の経営者をペルソナとしています。40代半ばで地元出身、生徒や保護者からの信頼が厚く、地域貢献と教育への情熱を持ちながら、経営課題に直面している姿が描かれます。

経営状況の項目 数値 補足
生徒数 80名 定員近くまで集客済み
月間売上 400万円 表面的には安定
講師人件費 250万円 アルバイト講師8名分
家賃・広告・光熱費 100万円 固定費
営業利益 20万円 利益率わずか5%

塾経営における利益低迷の根本要因

  • 固定費・変動費のバランス:売上が十分に思えても、変動費(講師人件費)が収益を圧迫
  • 客単価が課題の本質:生徒数が増えても、1人あたりから得られる利益が少ないままでは、収益が改善しにくい

経営者の課題意識と発言から見える悩みの構造

「生徒は増えているのに、なぜか利益が伸びない。講師の給料を上げたくても、原資がないんです」

これはまさに「集客=利益増」と捉えてしまう思考の落とし穴を示しています。収益性の本質は、客単価の改善と提供価値の再設計にあるのです。

この先のステップとして検討すべきポイント

  • 現状の客単価(売上 ÷ 生徒数)を可視化し、経営指標として定期観測する
  • 季節講習・オプション教材・成果型講座などにより、単価上昇を図る
  • 「忙しいのに儲からない」という体感を数字で裏づけ、具体的施策へと落とし込む

学習塾の利益改善に必要な客単価と売上構造の正しい理解

客単価と損益構造を読み解くケーススタディ

項目 数値 補足
生徒数 80名 安定した集客状況
月売上 400万円 講座収入合計
講師人件費 250万円 アルバイト8名分
その他経費 100万円 家賃・光熱費・広告
営業利益 20万円 利益率5%、収益性が低い
客単価 5万円/人 400万円 ÷ 80人

固定費・変動費を整理することで見える収益構造

費用項目 分類 影響
講師人件費 変動費 生徒数が増えるほど増加
家賃・光熱費 固定費 生徒数に関係なく一定
広告宣伝費 半変動費 集客に応じて調整可能

客単価1万円アップによる利益インパクト

  • 生徒数:80名 → 変化なし
  • 客単価:5万円 → 6万円/人
  • 月売上:400万円 → 480万円
  • 営業利益:20万円 → 130万円(利益率27.1%)

ポイント:生徒数を増やさなくても、単価改善だけで利益が6.5倍に拡大可能。

生徒数偏重の落とし穴と経営リスク

条件 結果 リスク
生徒数100名(単価据え置き) 月売上500万円、営業利益100万円 業務負荷が上昇し、利益率は20%止まり
生徒数80名(単価6万円) 月売上480万円、営業利益130万円 効率的な高収益体制を実現

数字に基づく経営判断がもたらすメリット

  • 改善ポイントが数値で明確になる
  • 感覚でなく根拠ある意思決定ができる
  • 「努力=成果」にならない問題を構造的に認識できる
  • 単価改善によるサービス品質・利益率の両立が可能になる

客単価は、塾経営の健全性と可能性を示す核心指標です。数字と向き合うことで、単なる感覚的な経営から、具体的な改善と戦略につなげる第一歩を踏み出せます。

学習塾の客単価が低いまま続くことによる経営リスクと改善指針

人数依存型の経営構造に潜む危険性

生徒数が増えて売上も伸びている──一見順調に見える塾経営ですが、実際には利益が残らず、経営者の負担ばかりが増えているケースが少なくありません。人数偏重型の経営は、数字で見れば構造的な問題をはらんでいることが明らかになります。

リスク①:人数増加による赤字の可能性

原因:客単価が低いままだと、生徒が増えるほど変動費(人件費や教材費など)も増加し、利益が圧迫されます。

生徒数 客単価 売上 人件費 営業利益 備考
80人 5万円 400万円 250万円 20万円 利益率5%
100人 5万円 500万円 300万円 100万円 負荷増/利益率20%
100人 6万円 600万円 300万円 200万円 単価改善で利益率33%に

リスク②:サービス品質の低下

  • 講師への報酬改善ができない
  • 人材流出による授業レベル低下
  • 満足度・継続率の低下から信頼喪失へ

客単価の上昇は、教育の質を高める「原資の確保」につながります。

リスク③:広告・集客施策への投資不足

  • 広告予算が限られ、新規獲得が鈍化
  • 売上停滞により再投資の循環が止まる
  • 結果的に事業成長が阻害される

十分な利益があれば、攻めのマーケティングが可能となり、持続的成長スキームが築けます。

リスク④:経営者の心理的・身体的疲弊

  • 「忙しいのに儲からない」状態が続く
  • 課題が見えず、改善の糸口が掴めない
  • モチベーションの低下で事業意欲が減退

定期的な客単価の測定と分析によって、改善の道筋が見えるようになり、精神的な負担も軽減できます。

成長の罠から抜け出すために必要なアプローチ

客単価が低いまま生徒数だけを追い続ける経営は、「売上増=疲弊増」という悪循環に陥ります。これを脱却するには、以下のような経営の再設計が不可欠です:

  • 売上構造の分解(客単価×生徒数)
  • 収益性重視の戦略へ転換
  • 教育サービスの価値設計と適正価格の提示

質を伴った教育サービスこそが、持続可能で収益性ある塾経営の礎となります。

学習塾の客単価を上げる4つの戦略施策と実践ポイント

季節講習の強化による単価向上施策

  • 実施内容: 夏期・冬期・春期など短期集中型講座を設定し、通常授業と組み合わせてセット割引を導入
  • 期待される効果: 追加収益による客単価向上/生徒の学習成果向上で満足度アップ/保護者との信頼関係強化
  • 運用上の注意点: 授業の「質」を高めるための差別化施策と講師側の研修が不可欠

オプション教材とオンライン補習による付加価値創出

  • 実施内容: 苦手対策プリント・定期テスト前のZoom補講・保護者向け質問対応などの個別/オンライン施策を導入
  • 期待される効果: 客単価に任意で上乗せ/コンテンツの再利用による効率的収益構造/時間の制約に左右されない収益源確保
  • 運用上の注意点: 学習成果や目的を明確に説明し、納得感を得る提案が重要

成果報酬型講座の導入による単価プレミア化

  • 実施内容: 点数保証型コース・合格特化型コースなど、目標達成を条件とした成果報酬制プログラムを設置
  • 期待される効果: 保護者の投資意欲向上/実績がブランド力となり口コミ拡大/単価が成果に連動することで信頼性向上
  • 運用上の注意点: 成果条件と管理体制の明示が不可欠。信頼性を保つ運営設計が求められる

価格改定をサービス強化とセットで行う

  • 実施内容: 教材改良・保護者面談の質向上・学習管理ツール導入など、価格上昇に見合う施策を同時展開
  • 期待される効果: 値上げに対する受容性向上/講師報酬改善により教育品質アップ/持続的な経営基盤の構築
  • 運用上の注意点: 価格改定の背景や効果をチラシや面談などを通じて丁寧に発信する必要あり

客単価改善の本質は「信頼」と「関係構築」

客単価の向上とは単に「値上げする」ことではなく、提供価値の再設計 × 体験による納得をベースにした関係性構築のプロセスです。

数字の裏には、生徒との成果、保護者との信頼、講師との職場環境、そして経営者の理念がすべて映し出されています。だからこそ、客単価は価格ではなく、塾が保護者から得ている信頼の証と考えることが重要です。

学習塾経営者が数字を味方につけるための実践ステップと客単価活用術

感覚ではなく構造で捉える経営の本質

多くの塾経営者が「忙しいのに利益が出ない」「手応えがあるのに数字がついてこない」といった違和感を抱えています。こうした悩みは、実は「数字構造を可視化していないこと」が原因です。数字を分解・構造化すれば、感覚的な不安が明確な改善課題に変わります。

感覚的な悩み 数字で見える課題
忙しいが利益が出ない 客単価が低い/変動費が高い
頑張っても報われない 利益率が低い/収益性が乏しい
方向性が見えない 売上構造が不明瞭/施策効果が見えない

客単価を可視化することで見える経営の改善余地

簿記や会計知識がなくても、経営に必要な「数字を味方につける力」は身につけられます。その第一歩は、売上と生徒数から導き出される客単価の定点観測です。

  • 毎月、生徒数と売上を記録
  • 客単価 = 売上 ÷ 生徒数 を算出
  • その推移をグラフで可視化

このプロセスにより、単価や提供価値に目を向けられるようになり、施策効果も数値で把握可能に。感覚による手応えが、根拠ある判断に変わります。

数字と施策の関係性を視覚化する「わかるシート」例

生徒数 売上 客単価 備考
4月 80人 400万円 5万円 春期講習あり
5月 82人 430万円 5.24万円 新規入塾多数
6月 81人 405万円 5万円 テスト前補講未実施

こうしたシートを使うことで、毎月の施策や環境変化と客単価の動きが一目でわかり、PDCAサイクルの精度も格段に上がります。

数字の見える化がもたらす3つの変化

  1. 意思決定が速くなる — 「次に何をするか」がすぐ見える
  2. 改善点が明確になる — 単価か人数か、費用構造かを具体的に判断できる
  3. 保護者との対話が強化される — 数字を根拠にした価格や成果の説明ができる

経営者が“数字を読める”とは何か?

難しい財務諸表を読み解く力ではなく、「自分の塾の収益構造を自ら把握できること」こそが、本当に必要な数字力です。

数字は塾の健康診断書であり、未来の経営戦略の設計図。セミナーでは、数字との向き合い方を学び、選択肢のある経営判断を手に入れていただきます。

学習塾経営における客単価改善と利益構造の再発見

生徒数の増加がもたらす信頼と意義の拡大

地域密着型の塾経営にとって、生徒が増えることは大きな成果です。

  • 地域での信頼性向上
  • 教育機関としての社会的役割の強化
  • 教室の活気と講師の働きがい向上

ただし、こうした理想的な拡大は持続可能な利益構造があってこそ成り立ちます。

成長実感と財務結果のギャップに潜む経営課題

「生徒が来ているのに利益が出ない」「講師に還元したいのに資金が足りない」──こうした声は、客単価に対する意識不足が背景にあることが多いです。

客単価が低ければ、売上が増えても同時に変動費が増加し、利益が圧迫されます。これは経営者の心身負担の増加にもつながります。

「1人あたりの売上」から見直す利益設計

客単価を高めることで、生徒数を増やさずとも利益率の改善が可能です。以下のような施策が有効です:

  • 季節講習の拡充
  • オプション教材やオンラインサービスの展開
  • 成果報酬型講座の導入
  • サービス強化を前提とした価格改定

これらは単なる収益アップではなく、教育の質を高めるための経営戦略といえます。

経営者への問いかけ:数字と向き合う準備ができていますか?

  • あなたの塾では、客単価を継続的に把握していますか?
  • 売上と生徒数の推移を定期的に分解・分析していますか?
  • 施策ごとの客単価の変化を検証していますか?
  • 忙しさだけではなく、提供価値と報酬のバランスに注目していますか?

客単価という指標は「経営の未来図」を描く羅針盤です。
数字を味方につければ、感覚では掴めなかった課題もクリアに見えてきます。

数字の裏側にある悩みは、決してあなただけのものではありません。
もし「うちも同じかもしれない」と感じたら、ぜひ一度ご相談ください。
現場の声を丁寧にお聴きしながら、数字を“味方”に変える具体的な一歩を一緒に見つけていきましょう。


なお、本記事で触れた会計指標をはじめ、経営に欠かせない数字をシンプルに見える化できるのが、
当事務所オリジナルの 「わかるシート」 です。
あなたのお店や会社の数字を、すぐに“自分ごと”として把握できる仕組みをご提供しています。

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