経営者の皆様。売上向上の方法、売上アップの戦略でお悩みではないでしょうか。売上向上のためには様々な施策が考えられますが、「様々考えられすぎて逆に思いつかない、絞り込めない」ということも往々にしてあるのではないでしょうか。
そのため、まずは頭の中を整理するために上図のように縦横に2つずつの項目を並べて考えてみます。これを「4象限(よんしょうげん)」と呼び、しばしば説明に使っていきます。
1つには顧客の属性が「新規」か「既存」か。もう1つにはチャネルが「オンライン」か「オフライン」かで切り分けて考えます。
施策には様々なものが考えられますが、重要と思われるポイントに絞ってご説明いたします。
本記事をコンパクトな3分動画にまとめたものはこちらです。こちらも見ていただけるととても嬉しいです!
新規×オンライン
新規開拓をオンラインで行う際、重要になるのはホームページ・広告です。一つずつ解説します。
ホームページ
中小企業の場合、「ホームページは一応あるが放置、作ったきり更新していない」というケースが多いようです。
ホームページは何となく作るものではありません。また、見栄えの良さを優先して作るものでもありません。
しっかり経営戦略を立案し、貴社の強みが何か、誰をターゲットとしていくのか、何を訴えていくのか、といった経営戦略を立案し、その戦略に基づいた内容とするべきです。
「広範囲に、大勢に訴求して、なんとなくそのうちの誰かに見てもらえればいい」という考えでは、結局誰にも刺さらないということになりがちです。
また、見栄えの良さも時として問題となります。もちろん、同じ内容であれば見栄えが悪いよりは良いほうが、印象は良くなるでしょう。ただ、往々にして見栄えの良さにこだわったホームページは、後の管理・運営が難しくなります。結果、何も手を加えず(したくてもできず)放置してしまう。というケースにつながってしまいます。
明らかに素人のブログ感が強い、といったホームページでは問題ですが、ある程度のクオリティが確保できれば、あとは内容に注力した運営を心がけることが重要となります。
そうした戦略的なホームページを作成し、日々の情報発信を続けていくこと。その中で自社や商品・サービス、経営者の想いを伝えていくことが、まずはオンラインの「顔」となる貴社のホームページを作りこむことのベースとなり、新規開拓にも寄与します。
「見やすさ」「わかりやすさ」「誠実さ」「問い合わせのしやすさ」といった点にこだわって作っていくことが、ホームページ制作の本質と言えます。
ソング中小企業診断士事務所では、以下のWebサイトの戦略的な制作から自社での自走化を目指すスキル育成までをパッケージにしたサービスもご提供しております。
広告
オンライン広告は様々な種類がありますが、対象を問わない取り組みやすさ、低額からでも始めやすいことから、リスティング広告をまずお勧め致します。
ユーザーの検索キーワードに連動して掲載されるため、「検索連動型広告」とも呼ばれます。
リスティング広告で重要となるのはペルソナの設定です。ペルソナとは、自社の商品・サービスを必要とする際に設定した「架空の人物像」のことです。
ペルソナは詳しく設定しようと考えると非常に幅広い項目があげられ、複雑化するのですが、リスティング広告で活用する際には「どんなことに困っている、どんな人」くらいの設定は最低限行いたいところです。
人はインターネット検索をする際、何らかの悩みを解決したい、もっと~~のようになりたい、といった動機があります。その動機を先回りして想定し、自社の商品・サービスで解決できますという道筋を立て、検索キーワードを考えていきます。
リスティング広告ではどんなキーワードが効果的なアクセスにつながっているのかを、定期的に調べ改善につなげていく、PDCAが重要となります。PDCAとは、Plan-Do-Check-Actionの略で、計画→実行→評価→改善のサイクルを繰り返すことで施策の効果を高めていく一連の活動です。そうすることでより効果的な広告出稿につながり、費用対効果も上がっていきます。結局のところ、ホームページ更新と同じく日々の継続が重要です。
既存×オンライン
既に自社のお客様となっている方にオンラインで訴求していくためには、SNS・メールマガジンが重要です。一つずつ解説します。
SNS
前提として、SNSは今やだれでも手軽にできるものである反面、事業で運営を行う場合には注意が必要です。
運営管理者の負担が大きいことと、投稿に対するトラブルが発生する可能性です。
SNSはいつでもどこでも発信できてしまう反面、ある意味では一番消費者に近い存在ともなります。
そのため、投稿管理のルールを最初に無理のない範囲で決めておく必要があります。
たとえばX(旧ツイッター)の場合、「毎日必ず何かはつぶやく」としてしまうと、高確率で頓挫します。そのためだけの人員がいればともかく、現実にはそのようなことは難しいため、どこかで無理が生じてきます。ノルマ達成のためにやっつけ仕事のようになり、内容も薄いものになりがちです。
ホームページ更新と同じく、継続していくことが何よりも重要です。十分に対応できる範囲で、また、投稿する材料も最初から何種類か決めておいて、ネタ探しに困らないようにしておくと良いでしょう。
消費者にとって身近なSNSを効果的に活用し、愛顧向上・ファン増加の効果が期待できます。ある意味で地道な作業ですが、こうした積み重ねが重要となります。
メールマガジン
メールマガジンは、今でもマーケティングでは重要なツールの一つです。定期的にお得情報を発信していくことで再購入を促す効果があります。
Eメールが登場してからずっと世の中に浸透している手法ですので、古臭い印象を抱く人もいるかもしれませんが、いまだにその効果は大きくWebマーケティングの主力選手の一つです。
毎日多くのメールマガジンが様々な企業から届く、という方も少なくないのではないでしょうか。それだけ、Eメールを使ったマーケティングは効果的であるとも言えます。
自社や商品・サービスのことを忘れさせないという重要な役割もあります。定期的な購入を促し、優良顧客化へとつなげます。
注意点としては、メールマガジンは開封してもらえなければ効果が薄くなりますので、件名でいかに興味をひきつけるかが重要となります。
いろいろな件名のパターンを試してみることで、より効果的なメールマガジンの制作につなげることが可能となります。ですからここでもやはり、PDCAが重要となります。
新規×オフライン
オフライン営業、というとんまず飛び込み営業をイメージされる方もいらっしゃるかもしれませんが、以前、経営コンサルティングに伺った際に社長が仰っていたことは
「あまり飛び込み営業はしたくない」
とのことでした。
営業部のない会社でもあり、基本的にはオンラインでの受注が多かったため、それほどオフライン営業の必要性を感じていなかった、ということもありますが、やはり飛び込み営業には一定の抵抗がある方も多いのだと思います。
業種・取り扱い商品にもよりますが、それでも一定程度のオフライン営業は必要となると考えております。
オフライン営業の施策としては必ずしも飛び込み営業ではなく、オフラインでのマーケティングを行うと考え、売り上げにつながる窓口は少しでも広げていくべきだと考えます。
各種イベントや地元密着での展開
具体的には、製造業であれば展示会等のイベントでの出展や、その他であっても自治体等公共機関が主催する交流会等で新たな取引先を開拓することも考えられます。
またパンフレット等、紙媒体での資料を作り、自治体や高速道路のパーキングや道の駅などの公共交通機関等に設置し、QRコードから自社ホームページへの流入を促す、「オフラインtoオンライン」という手法も取れます。
飲食店など直接消費者とつながる業種であれば、チラシを作成しポスティングやビラ配り等、様々な切り口が考えられます。
地域密着型の企業であれば、より効果的な施策となります。
いずれの場合でも、作成する資料には貴社の強みを効果的にアピールできるよう、事前に十分な戦略を立案することが求められます。
既存×オフライン
ダイレクトメール
ダイレクトメールも歴史は古く、その起源はなんと江戸時代にまでさかのぼると言われます。登場から300年ほど経った現代でも、変わらずその手法が有効利用されているということは、営業活動の本質的なやり方と言えるのかもしれません。
上述したメールマガジンのオフライン版、とも考えられますが、両者の違いは「形あるものかどうか」という点でしょう。
メールは、必ずしも開封してくれるとは限りません。しかし形あるダイレクトメールであれば、少なくとも全く目に触れることなく捨てられる、というケースは少なくなると思われます。
大量に届くダイレクトメールの中で、より興味を引き付け読んでもらえるようにするのかは、事前の十分な戦略立案が重要なポイントとなります。デザイン面もさることならが、やはりそのコンテンツ、誰に何をアピールしていくのかを明確に考え、日々改善していけるように運営していくことが求められます。
顧客対応力向上
また、小売や飲食、宿泊等の直接顧客と接触する業種がメインとはなりますが、従業員教育を行い顧客対応力を向上させ、コミュニケーションの中から顧客のニーズを探り商品・サービスに展開させることも中長期的に見た営業活動の一環です。
さらに、結果として顧客満足度が向上すれば自社のファンになってもらうことができ、リピーターとなったり口コミでの良い評判が広がることも期待できます。顧客との人間関係性を向上させることで、既存顧客が強固なリピーターとなり、短期的な売上拡大のみならず中長期的に見た企業ブランディングにも寄与します。
顧客管理
いずれの場合でも、顧客管理が重要となります。顧客データベースを構築していないというケースも少なくありませんので、その場合にはまずはそこから着手する必要があります。
営業活動での顧客管理と言えば、セールスフォースなどの営業支援システムがまず思い浮かびますが、必ずしもそういったシステム導入を行わなくても、まずはエクセルで簡易的なデータベースを構築することも可能です。
顧客ごとに「最近いつ購入したか」「購入頻度は」「購入金額は」といった切り口から顧客をグループ分けし、グループごとに施策を変えていくことで効率的な営業活動が可能となります。この分析手法を「RFM分析」と呼びます。
例えば、長い期間購入しておらず、過去に1度購入したのみ、金額も少なかった…このようなグループの顧客にコストをかけて積極的にアプローチするのは、得策とは言えません。逆に3つの切り口、いずれも高い顧客は優良顧客と考えられますので、今後も力を入れて連絡を取ること、可能であればお客様の声をヒアリングして商品・サービス開発や改善につなげることで、全体的な売上・利益向上が期待できます。
なお、営業支援システム等のITツールを導入する際には以下の「IT導入補助金」が活用できる可能性があり、活用できれば自社の実質負担を抑えての導入が実現できます。まずはお気軽にご相談ください。
オフラインの施策は、オンラインと比較してコストがかかりやすい傾向にあります。
形あるものを届けたり、実際に人を動かす必要があるなど、コストが一定程度必要になるのは仕方のない部分もありますが、だからこそ費用対効果をよく考え効果的な施策となるよう十分な計画、効果確認、改善が必要になる施策であるとも言えます。
売上拡大における改善提言とは
ここまでそれぞれの切り口での施策をご紹介させていただきました。一口に「売上拡大」と言っても、やるべきことは無限にあるように感じ、具体的に何をすればいいのか迷いがちです。上記のように、新規か既存か、一方でオンラインかオフラインか、という4つの切り口から考えることで、やるべきことが整理され具体的な施策に落とし込みやすくなるのがお分かりいただけるかと思います。
私は中小企業診断士として、経営コンサルティングをさせていただく際には、まず経営者の方へのヒアリングからはじめます。そのうえで貴社の現状分析をさせていただき、改善すべきと思われる点については改善提言をさせていただきますが、その際
新規開拓をしていないことがわかった→「新規開拓をしてください」
既存顧客管理をしていないことがわかった→「既存顧客管理をしてください」
このような提言では、一見正しいことを言ってはいますが、何ら具体的な施策を提案できておらず、「では、一体何をどうすればいいのか」がわからずに効果的なアクションにつながりません。ただ理想だけを押し付け、行動が伴っていないコンサルティングです。
ソング中小企業診断士事務所では、お客様の想いに寄り添い、実現可能性を考慮したご提案を心がけております。また、「今ある経営資源」でできることは何か、具体的な施策をお伝えできるよう、心がけております。
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