設定:中小建設業の経営者が、人材不足に悩みながらも有効な対策が取れないことに悩んでいた。コンサルタントに相談を持ちかけた場面から始まる。
井村さん、今日はお忙しい中ありがとうございます。実は、最近人手不足が深刻で、事業への影響が心配で…。
社長、本日はご相談くださりありがとうございます。お悩みのご様子ですね。社長がお悩みのように、建設業界の人手不足は深刻化しています。まず、現状について詳しくお聞かせいただけますか?
はい。職人さんの高齢化が進んでいるのはもちろんですが、最近は若い人もなかなか入ってこないんです。募集を出しても応募がほとんどない状況で…。このままでは、仕事を受けてもこなせるか不安です。
確かに、建設業界では高齢化と若年層の不足が深刻な問題となっていますね。募集を出しても応募がないとのことですが、どのような方法で募集をされていますか?
今までは、ハローワークや求人広告、あとは知り合いに声をかけるくらいでした。でも、最近はそれでも応募が少なくて…。
そうでしたか。従来の方法では、求職者へのリーチが限られてしまう可能性があります。インターネットを活用した求人サイトや、SNSでの情報発信なども検討してみてはいかがでしょうか。企業のウェブサイトや採用ページを作り、会社の雰囲気や魅力をアピールすることも重要です。
なるほど…。でも、正直、ホームページとかSNSとか、よくわからないんですよね…。社内に詳しい人材もおらず、どうやって始めればいいのか…。
仰るように、なかなか最初はハードルが高い印象があるかと思いますが、いきなりすべてを完璧に対応しようとせず、できるところから段階を踏んで進めていくことが重要です。私も、ウェブサイト制作や動画制作といたインターネットを活用した事業改善のサポートもしていますので、お気軽にご相談ください。特に、若い世代はSNSをよく利用していますので、InstagramやX(旧ツイッター)を活用するのも良いでしょう。
そうなんですね!ぜひ、お願いしたいです。若い人たちにアピールできるような内容にしたいです。
承知いたしました。YouTube動画の活用なども戦略的に行っていきましょう!また、採用活動だけでなく、人材育成にも力を入れることが重要です。せっかく入社した人材が定着しなければ、人手不足は解消されません。
本当に、そうですね…。うちも、せっかく若い子が入社しても、すぐに辞めてしまうことが多いんです…。一体、何が問題なのでしょうか?
企業側と若年層の認識にギャップがあることが考えられます。企業側が「仕事がきついと感じているのでは」「若者の意識が低いのでは」と考えている一方で、若年層は「雇用が不安定」「休みがとりにくい」といった労働環境を問題視しているようです。給与については、建設業は飲食業や運輸業といった他産業と比べて高い傾向にあるのですが、一人親方と呼ばれる層は対象外であり、給与水準が低い傾向にあります。
なるほど…。確かに、うちの会社も昔ながらのやり方で、労働時間管理や休日の取得についてはあまり配慮できていなかったかもしれません。若い人たちが求める働き方に応えられていなかったのですね。
労働環境の改善は、人材確保と定着のために非常に重要です。週休2日制の導入やICTを活用した業務効率化は有効な手段です。ICTは、測量や重機の運転などを効率化することで、工数を削減し、週休2日の確保を可能にします。
週休2日制ですか…。建設業界では、なかなか難しいイメージがありますが、実際に導入している企業も増えていると聞きます。
確かに、従来の建設業界では難しい面もありました。しかし、働き方改革関連法の完全適用が2024年4月から始まることを考えると、長時間労働を前提とした働き方を見直す必要があります。これを機に、業界全体での意識改革が求められています。
そういえば、そんな話もありましたね…。2024年問題、でしたっけ?正直、うちのような中小企業には関係ないと思っていました。
いえ、2024年問題は、中小企業こそチャンスと捉えるべきです。最新機器の投入や業務のデジタル化、月給制への移行や人事評価制度の導入など、労働環境整備に取り組むことで、成長のきっかけにできるはずです。競合他社との差別化にもつながります。
なるほど…。具体的には、どんなことから始めればいいでしょうか?
まずは、現状を把握し、改善目標を設定することから始めましょう。以下に具体的な進め方をご提案させていただきます。
- 労働時間管理
- 休暇取得
- 賃金
- 福利厚生
現在の労働時間の実態を把握し、適正な労働時間と残業時間の上限を定めましょう。例えば、月の労働時間を記録し、どのくらいの時間が残業に当たるのかを分析することが重要です。
週休2日制の導入に向けて、年間休日数や休暇取得のルールを整備しましょう。具体的には、年間の休日数を明確にし、従業員が計画的に休暇を取得できるようにすることが大切です。
職種や経験に応じた賃金テーブルを作成し、昇給や賞与の基準を明確化しましょう。建設キャリアアップシステムを活用して、技能者のキャリアを可視化し、待遇向上につなげることも有効です。
社会保険の加入状況や退職金制度など、福利厚生の充実を検討しましょう。特に、健康診断やメンタルヘルス対策など、従業員の健康を守る施策は重要です。
なるほど…。確かに、そう言われるとどれも重要な感じがします。でも、正直、そんなことまで手が回るか不安です…。
大丈夫です。先ほど申し上げた、インターネットの例と同じで最初からすべてを行おうとせず、一つずつ、できることから取り組んでいけばいいのです。国や都道府県は、雇用管理改善のための補助金制度や相談窓口を設けています。これらの制度を活用することも検討してみましょう。補助金を利用すれば、初期投資を抑えつつ、必要な改善を進めることができます。
そういった情報には疎く、あまり調べたこともありませんでしたが、活用できるのなら使いたいとは思っています。具体的にどのような補助金があるのか、弊社にはどういったものが適しているのか、教えていただけますか?
もちろんです。例えば、ICT導入に対する補助金があります。これらは、申請手続きが少し面倒ですが、しっかりと活用すれば大きな助けになります。御社にはどんな補助金が適しているか、お調べして申請までサポートさせていただきます。
それは助かります。なるほど、補助金を活用することで、負担を軽減できるのですね。
はい、行政を中心に多くの補助金制度が整っているものの、十分に活用できていない企業も多く、是非導入までサポートさせていただければと存じます。また、ICTの導入も検討してみてはいかがでしょうか。初期費用はかかるものの、業務効率化や人材育成に効果を発揮します。例えば、現場での作業報告をスマートフォンで行えるアプリを導入することで、情報の共有がスムーズになります。
ICTですか…。言葉は聞いたことがありますが難しそうですね…。どうも横文字が苦手で…。
社長の仰る通り、昨今はなんでも横文字にする傾向がありますね。個人的には多少行き過ぎている感覚も覚えますが、少しずつ理解していくようにすれば心配はいりません。最初は、勤怠管理システムやコミュニケーションツールなど、導入しやすいものから始めてみてはいかがでしょうか。「クラフトバンクオフィス」のような、建設業に特化したシステムもあります。確かに新しいシステムには抵抗感が伴うものですが、徐々に慣れていくことで、抵抗感も減っていくと思います。外国人労働者の採用も人材不足解消の一つの方法です。技能実習制度や特定技能制度を利用すれば、外国人材の受け入れが可能です。ただし、外国人材の受け入れには、制度の理解や適切なサポート体制の構築が不可欠です。
分かりました。井村さん、今日は色々教えていただきありがとうございました。具体的なアクションプランが見えてきました。
それはとても素晴らしいことです!社長、一緒に頑張っていきましょう。御社の明るい未来に向けて、私も全力でサポートさせていただきます。
(数か月後、社長の会社事務所にて)
井村さん!お陰様で、最近若い子が続けてくれるようになったんです!
それは素晴らしいですね!具体的に、どういった施策が効果的だったとお考えですか?
まず、週休2日制を導入し、労働時間管理を徹底しました。最初は職人さんから反発もありましたが、「働き方改革」の必要性を丁寧に説明し、理解を得ることができました。特に、若い職人たちが「休みが取れるのは嬉しい」と言ってくれたのが大きかったです。
素晴らしいですね!従業員の理解を得ることができたのは、社長のコミュニケーション力の賜物ですね。
また、補助金制度を活用して、ICTツールも導入しました。勤怠管理や情報共有がスムーズになり、残業時間も大幅に削減できました。具体的には、月の残業時間が30%減少しました。
なるほど。ICTの効果を実感されているようですね!業務の効率化が進むと、従業員の負担も軽減されますし、モチベーションも上がりますね。
はい!おかげで、会社全体の雰囲気が明るくなり、若手も定着してくれるようになってきました。新しい仕事も積極的に受注できるようになり、業績も向上しています!今では、若い職人たちが自ら提案をしてくれるようになりました。
素晴らしい成果ですね!社長の前向きな行動と、従業員の方々の理解と協力があったからこそだと思います。これからも、さらなる成長を目指していきましょう。
本当に、井村さんには感謝しかありません!これからも井村さんと一緒に、会社を成長させていきたいです!次は、さらに新しいプロジェクトにも挑戦してみたいと思っています。
大変嬉しいお言葉、こちらこそ本当にありがとうございます。私も、社長と、そして御社の未来を共に歩んでいけることを嬉しく思います。これからも、共に成長していきましょう!新しい挑戦についても、ぜひ一緒に考えていきましょう。