設定:経営者が、価格設定の見直しを行うべきか判断に迷い、コンサルタントに相談を持ちかけた場面から始まる。営業部長も同席している。
井村さん、今日はお忙しいところありがとうございます。実は、長年悩んでいる価格設定について、ご相談したいと思いまして。
社長、本日はお呼びいただきありがとうございます。価格設定のことでお悩みとのことですが、具体的にどのようなことでしょうか?
わが社の製品は品質には自信があるのですが、競合他社が多いこともあり、なかなか価格競争から抜け出せなくて…。利益を確保するために、思い切って値上げも検討したのですが、顧客が離れてしまうのが怖くて、踏み切れないでいるんです。
社長のご不安なお気持ち、よく分かります。多くの経営者が抱える悩みですね。価格設定は、企業の収益に直結する重要な要素ですから、慎重になるのも当然です。でも、社長のお悩みを伺い、私は心より共感いたします。御社の製品に対する自信と、従業員のために最善を尽くそうとする姿勢は素晴らしいものです。
はい…。ただ、このままでは、従業員の給上げもままならない状況で…。何か良い解決策はないものでしょうか。
社長のご懸念ももっともです。まず、御社の価格設定の現状について、詳しくお伺いしてもよろしいでしょうか?社長の熱意と努力を無駄にしないためにも、一緒に最適な解決策を見つけましょう。
はい。わが社の価格設定は、製造原価に一定の利益を上乗せする方式で決めてきました。
社長の仰る方式は、いわゆるコストプラス価格設定方式ですね。多くの企業で採用されている方法ですが、需要や競合といった視点が不足しがちです。
需要や競合ですか?
はい。例えば、顧客は価格だけで判断するのではなく、商品の価値や品質、ブランドイメージなども考慮します。 高価格でも質の高いサービスや独自の価値を提供することで、顧客満足度を高め、結果として収益向上を実現している企業もあります。 一方で、競合が多い業界では価格競争に巻き込まれやすいですが、安易な値引きは利益率の低下を招き、企業の体力を奪うことになりかねません。貴社も独自の価値を見つけて、それを顧客に伝えることで、価格競争から抜け出せるはずです。
なるほど…。確かに、うちの業界も価格競争が激しくて…。 しかし、うちの規模で、独自の価値やサービスなんて提供できるのでしょうか?
もちろんです。御社の強みを生かした価値提供は可能です。そのためにも、まずは御社の現状を分析し、最適な価格戦略を策定していく必要があります。
具体的には、どのようなことをするのでしょうか?
まずは、ITシステムを導入し、データ分析を行いながら御社の現状を把握することから始めましょう。
データ分析ですか?難しそうですね…。なんとなくそういう難しそうなことは避けてきてしまいました。
ご安心ください。御社に合ったシステム構築と運用をサポートさせていただきます。 例えば、小売業の場合であればPOSレジシステムを導入することで、どの商品が、いつ、どれくらい売れているのか、といった販売データが一元管理できるようになり、売れ筋商品や在庫状況をリアルタイムで把握することができます。 このデータに基づいて販売戦略を立てることで、在庫の削減や機会損失の防止といった効果が期待できます。
顧客の行動を分析する…ですか?具体的にどのようにすれば…?
例えば、御社の製品が購入できる店舗があれば、顧客がどのように商品を選んでいるのか、店員とどのような会話をしているのかを観察するのです。Webサイト上で販売しているのであれば、顧客のアクセス状況を分析することで、顧客がどのような情報に興味を持っているのかを把握できます。
なるほど…。顧客の行動を分析することで、これまで気づかなかったニーズが見えてくるかもしれませんね。
その通りです。顧客ニーズを深く理解することで、顧客が本当に求めている製品・サービスが見えてきます。例えば、ソング中小企業診断士事務所の例で言えば、中小企業経営者の「売上向上の方法を知りたい」「経営改善の方法がわからず、相談相手もいない」というニーズをくみ取り、Webサイトや動画で情報発信したり、経営相談に応じたりするサービスを提供しています。 特に、Webサイトや動画での情報発信は、顧客が求める情報をタイムリーに提供できるという点で有効な手段と言えるでしょう。
なるほど…。 確かに、今は勘と経験に頼っている部分が多いかもしれません。
営業部長:そうですね。データに基づいて分析することで、これまで見落としていた課題や機会が見えてくるかもしれません。
その通りです。データ分析によって、以下の項目を具体的に把握していきます。
- コスト構造の分析
- 競合価格の調査
- 価格戦略の策定
- 価格変更の影響分析
- 顧客の価格感度の理解
製造原価、販売費、一般管理費などの内訳を分析し、コスト削減の可能性を探ります。
競合他社の価格や価格戦略を調査し、自社との差別化ポイントを明確にします。
コスト、競合、顧客の3Cを分析した結果に基づき、最適な価格戦略を策定します。
値上げや値下げを行った場合の売上や利益への影響をシミュレーションします。
顧客がどの程度の価格帯であれば購入意欲を示すのか、アンケート調査や購買データ分析などを通して把握します。
なるほど、具体的なデータに基づいて分析すれば、自信を持って価格設定ができそうですね。
仰る通りです。 さらに、データ分析と並行して、デジタルマーケティング戦略も検討していくことをお勧めします。
デジタルマーケティング戦略とは?
インターネットを活用したマーケティングのことです。例えば、WebサイトやSNSを通じて、御社の商品やサービスの魅力を効果的に発信することで、新たな顧客層を獲得したり、既存顧客とのエンゲージメントを高めることが期待できます。
営業部長:なるほど。ウェブサイトやSNSできちんと情報発信できれば、顧客との接点を増やし、購買意欲を高めることができますね。
はい、まさに仰る通りです。デジタルマーケティングを効果的に活用することで、価格競争に頼らずに、顧客に選ばれる企業へと成長できる可能性を秘めています。
わかりました。ぜひ、井村さんのお力をお借りしたいです。
かしこまりました。社長の製品に対する情熱と品質へのこだわりを活かした施策を考えていけば、きっと道は開けるはずです。御社と共に考え、悩み、成長できるパートナーとして、全力でサポートさせていただきます。
数か月後
社長室で、社長が満面の笑みを浮かべている。
井村さん、お陰様で、業績がすごく良くなりました!
それは素晴らしいですね!具体的にどのような成果が出たのでしょうか?
はい、井村さんのアドバイスに従って、ITシステムを導入し、データ分析を進めた結果、無駄なコストを大幅に削減することができました。 また、ウェブサイトのリニューアルやSNSでの情報発信にも力を入れたことで、新規顧客も獲得できています。そして、これらの成果を踏まえて自信を持って価格改定を行ったところ、顧客の反応も上々で、売上も利益も大幅にアップしました!
営業部長:新規顧客が増えただけでなく、既存顧客との関係も強化され、リピーターが増加したのも大きいですね。
素晴らしいですね!御社の努力が素晴らしい成果に繋がったことを、大変嬉しく思います。
こちらこそです。これからは、データに基づいた経営判断を継続し、更なる成長を目指していきたいと思います!
ええ、私も御社の明るい未来に向けて、共に伴走していきたいと思っております!