いわゆる2024年問題と言われる、物流コストの負担増に頭を悩ませている経営者の方が増えています。ただでさえ円安や物価高騰の波が押し寄せる中、物流コスト増大の危機をどのように乗り越えていけばよいのでしょうか。経営者の方との対話形式で解決策をご提案いたします。
設定:経営者が、物流コストが増加していることに頭を悩ませ、コンサルタントに相談を持ちかけた場面から始まる。製造部長、現場作業者も同席している。
最近、業績が悪化しているのですが、コストも増え、とりわけ物流コストが負担になっています。このままでは会社の将来が不安で…井村さん、何か良い解決策はないでしょうか?
物流コストでお悩みですか。多くの企業が抱える課題ですね。御社だけでなく、日本全体で物流コストは増加傾向にあり、企業の収益を圧迫しています。 まずは、現状を把握することが重要です。物流コストには、輸送費、保管費、荷役費、管理費など、様々な費用が含まれます。 社長は、どの費用がどれくらいかかっているか、把握されていますか?
正直、よくわからないんです…。今まで、あまり細かく見てきませんでした。
承知いたしました。では、まず物流コストを「見える化」することから始めましょう。 具体的には、それぞれの工程でどれだけの費用がかかっているかを分析します。 会社の財務状況を把握せずに経営判断をするのは、地図を持たずに航海に出るようなものです。
製造部長: 実は、以前から倉庫の保管料が高いと感じていました。荷物の量に対して倉庫が広すぎる気がします。
それはとても重要な着眼点です。保管料は、在庫量に比例して増加します。 日本ロジスティクスシステム協会の調査でも、物流コスト全体に占める保管費の割合は約15%と、無視できない数字です。 在庫管理を最適化することで、保管料を削減できる可能性があります。
在庫管理ですか…。具体的には、どうすればいいのでしょうか?
まずは、適切な在庫管理システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。 リアルタイムで在庫状況を把握できますし、発注の自動化なども可能になります。 結果として、在庫の適正化、保管費の削減、人件費の削減にもつながります。 余分な在庫を抱えず、必要なものを必要な時に仕入れるようにすれば、倉庫のスペースも縮小できます。
システム導入ですか…費用がかかりそうですね。中小企業には、少しハードルが高いように感じます。
もちろん、初期投資は必要です。しかし、長期的に見ると、人件費や保管料の削減効果の方が大きくなる可能性が高いです。 最近のシステムは、導入しやすいものも増えていますし、補助金制度を利用できるケースもあります。実行判断の際は、将来的なキャッシュフローを現在価値に換算して投資回収期間を予測した、詳細なシミュレーションを出させていただきます。また、ソング中小企業診断士事務所で補助金申請についてもサポートさせていただくことが可能です。貴社が活用できる補助金を探し、ご提案させていただきます。申請が通れば負担を抑えた投資が可能です。
それは安心ですね!投資に対して前向きに検討してみたいと思います。
また、輸送コストも大きな割合を占めていますね。 実は、全業種平均で物流コスト全体に占める輸送費の割合は55%を超えています。 トラックの積載率向上や配送ルートの見直しなどで、輸送効率を改善できます。
うちの会社は、配送先が全国に点在しているので、ルートの見直しは効果がありそうです。今まで、あまり配送ルートを意識していませんでした。
はい、大変効果的な施策になると考えます。配送拠点を見直したり、集約したりするのも有効な手段です。 配送ルートの最適化には、専門的な知識が必要となる場合もあります。 外部の物流会社に相談してみるのも良いかもしれません。3PLや4PLと呼ばれるサービスがあります。
3PL、4PL…?初めて聞きました。
物流業務の一部、または全部を外部に委託するサービスです。 プロのノウハウを活用することで、物流コストの削減だけでなく、業務効率化や品質向上も期待できます。 専門的な知識やノウハウを持つ外部の力も借りながら、最適な物流システムを構築していくことが重要です。その際、自社の状況に合った方法を選ぶことが重要です。 御社の課題やニーズを詳しくお伺いした上で、最適な解決策をご提案させていただきます。また、5S(「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「躾(しつけ)」の頭文字をとったもの)の徹底をすることも地味なようですが重要な対策です。日々の現場業務を行う中で、小さなことの積み重ねが大きな改善につながります。よろしければ一度、現場を拝見し具体的な改善策を検討させていただきます。
数か月後
井村さん、お陰様で物流コストが大幅に削減できました!会社の業績も上向きで、従業員の顔色も良くなりました!
それは良かったです!具体的には、どのような取り組みをされたんですか?
まず、井村さんのアドバイス通り、物流コストを見える化しました。その結果、保管料と輸送費が課題だと判明したので、倉庫管理システムを導入し、在庫管理を徹底しました。 それと、配送ルートの見直しも行い、外部の物流会社とも連携することにしました。
作業者:倉庫の整理整頓も徹底しました!以前はものが多くて、どこに何があるか分からず、探すのに苦労していましたが、今は作業効率が格段にアップしました!
社内の意識改革も進み、今では、ムダをなくして効率的に業務を行うことを全員が意識しています。おかげさまで、今では従業員の負担も減り、業務効率も大幅に向上しました。 物流コストの削減だけでなく、会社の業績向上にも繋がっています! 本当に、井村さんに相談して良かったです。
それは素晴らしい成果ですね!御社の明るい未来に向けて、共に伴走して参ります!
ありがとうございます。実は、もう一つ相談があります。私も最近、現場によく入るようになって気が付いたのですが、従業員のモチベーションが低下しているように感じます。何か良い対策はありますか?
従業員のモチベーション向上も重要な課題ですね。まずは、従業員の声をしっかりと聞くことが大切です。定期的なアンケートや面談を通じて、従業員の意見や要望を把握しましょう。また、成果を適切に評価し、報酬や昇進に反映させることも重要です。
作業者:社長の仰る通り、最近、社内でのコミュニケーションが不足していると感じています。私たちの意見がなかなか上に通らない気がしていて…
それは貴重なご意見ですね。チームビルディングと呼ばれる、チーム一人ひとりのスキルや能力、経験などを踏まえて全体のパフォーマンスを最適化するための活動や、社内イベントを通じて、従業員同士の交流を促進することも効果的です。また、働きやすい環境を整えるために、フレックスタイム制度やリモートワークの導入も検討してみてはいかがでしょうか。
なるほど、ありがとうございます。早速、従業員の声を聞くためのアンケートを実施し、改善点を見つけていきたいと思います。また、チームビルディングの活動や社内イベントも計画してみます。
それは素晴らしいですね。従業員の意見を尊重し、働きやすい環境を整えることで、モチベーションも向上し、業績にも良い影響が出るでしょう。何か他にお困りのことがあれば、いつでもご相談ください。
本当にありがとうございます。井村さんのおかげで、会社の未来が明るくなりました。これからもよろしくお願いします。
こちらこそ、引き続きサポートさせていただきます。共に頑張りましょう!