設定:社長は、自社の将来について、最近の異常気象や気候変動に関するニュースを見るたびに不安を抱えていました。特に、自然災害による工場の停止や、原材料の調達難など、具体的にどのような影響が出るか分からないことが不安を大きくしていました。そこで、経営の専門家である井村中小企業診断士に相談することにしました。
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今日はよろしくお願いします。実は、最近の気候変動のニュースを見るたびに、自分の会社のこと、将来が不安で不安で…。何か対策を考えないといけないとは思っているのですが、具体的に何をしたら良いのか分からず、困っているんです。
社長、それはご心配ですね。確かに、気候変動は企業経営に大きな影響を与える可能性があります。まずは、どのような点が不安に感じていらっしゃるのか、具体的にお聞かせいただけますか?
はい。まず、工場が台風や洪水の被害に遭ったらどうしよう、と。うちの工場は決して新しいとは言えないですし、もし操業停止にでもなったら、会社の存続に関わります。それから、原材料の調達も心配です。今まで通りに仕入れられなくなるんじゃないか、価格が急に上がったりしたら対応できないんじゃないか、と。
よく分かります。まさに社長がおっしゃる通りで、気候変動は企業経営にとって大きなリスク要因です。具体的には、BCP(事業継続計画)とサプライチェーンへの影響が懸念されます。
BCPとサプライチェーンですか?
はい。BCPとは、自然災害などの緊急事態が発生した場合でも、事業を継続または早期復旧するための計画のことです。気候変動の影響で、台風や洪水などの自然災害が激甚化する可能性があります。もし、工場が被災し操業停止に追い込まれたら、会社の存続にかかわります。その損失を最小限に抑え、いち早く事業を再開するために、BCPを策定しておくことが重要です。
なるほど。確かに、もしもの時の準備は必要ですね。
はい。そして、サプライチェーンですが、これは原材料の調達から製品の販売に至るまでの流れのことです。気候変動は、原材料の調達難や価格高騰、物流の遅延など、サプライチェーン全体に影響を及ぼす可能性があります。
今まで通りに材料が入ってこなくなったり、価格が大きく変動する可能性もあるんですね…。
その通りです。例えば、海外から原材料を輸入している場合、気候変動の影響で生産量が減ったり、物流が滞ったりする可能性があります。また、国内調達であっても、異常気象によって品質が低下したり、収穫量が減ったりする可能性も考えられます。
うちは、海外からの輸入に頼っている部分も大きいので、他人事ではありませんね…。
そうですね。気候変動の影響は、既に世界各地で顕在化しています。早急に対応策を検討していく必要がありますね。
具体的には、どんな対策があるのでしょうか?
まず、BCPについては、次のような対策が考えられます。
- 自社の事業の脆弱性の洗い出し: どのような災害が起きた場合、事業のどの部分に、どれくらいの影響が出るのかを分析します。
- 重要業務の選定と代替手段の確保: 事業を継続するために特に重要な業務を特定し、災害時でも業務を継続または早期復旧できるよう、代替手段を検討します。
- 従業員の安全確保: 従業員の安全を最優先に考え、避難訓練の実施や、安否確認システムの導入などを行います。
- 取引先との連携強化: 災害時における代替調達先の確保や、情報共有の強化など、取引先との連携を強化します。
なるほど。まずは、自社の弱点を把握することが重要ですね。
その通りです。そして、サプライチェーンについては、次のような対策が考えられます。
- サプライチェーン全体のリスク把握: 原材料の調達先から製品の販売先まで、サプライチェーン全体のリスクを可視化します。
- 調達先の多角化: 特定の地域や企業に依存している場合、他の地域や企業からも調達できるよう、調達先の多角化を検討します。
- 国内調達への切り替え: 可能な範囲で、海外調達から国内調達への切り替えを検討します。
- 代替材料の検討: 従来の原材料の調達が困難になった場合に備え、代替材料の検討を行います。
- 在庫管理の適正化: 災害や調達難に備え、必要な在庫量を確保できるよう、在庫管理の適正化を行います。
多角化や代替材料の検討は、すぐにできることではないですが、できることから始めていくことが大切ですね。ただ、必要なことはよくわかるのですが、どうしても前向きになれないというか、現状よりもプラスになる取り組みではないと感じてしまい、対応が後手後手に回ってしまいます…。対策にはお金も人手もかかりますよね。
社長のおっしゃる通り、気候変動への対応は短期的な視点ではなく、中長期的な視点で、継続的に取り組むことが重要です。そして、気候変動への対応は、決して後ろ向きなコストではありません。新たな成長機会と捉えることもできます。
成長機会ですか?
はい。例えば、省エネルギー設備の導入は、環境負荷の低減だけでなく、コスト削減にもつながります。また、環境に配慮した製品やサービスの開発は、新たな顧客層の獲得や、企業価値の向上に繋がる可能性もあります。BCP対策、サプライチェーン対策をしっかり考え準備している、ということをホームページやSNS等で積極的に発信していくこと、名刺や会社案内等にも記載していくことで、オンライン・オフライン問わず自社の取り組みのPRにつながり、社会的にも取り組みそれ自体が評価され、取引先として選ばれる企業になっていくことも十分に期待できます。
なるほど…。確かに、前向きに捉え、新たなビジネスチャンスにつなげられるように取り組むことが重要ですね。
その通りです。誰もが避けて通れない、対応が難しそうだ、と感じられる問題だからこそ、先んじて手を打つことで競合との差別化につながります。そして、これらの対策は、企業単独で取り組むのではなく、行政や金融機関、そして、他の企業と連携していくことも重要です。
分かりました。今日は、具体的な対策について、イメージがわいてきました。
それは良かったです。気候変動への対応は、企業の持続可能性を高めるための重要な取り組みです。共に、明るい未来を創造していきましょう。
それから数ヶ月後、井村診断士は社長から、工場の省エネ化を進めた結果、エネルギーコストが大幅に削減できたという報告を受けました。さらに、環境に配慮した新製品の開発にも着手し、新たな顧客獲得にも手応えを感じているとのことでした。
井村さん、おかげさまで、環境への取り組みを始めてから、社内が大きく変わりました!
それは素晴らしい!具体的にどのような変化がありましたか?
まず、従業員の意識が変わりました。自分たちの仕事が環境問題とどう関わっているのかを理解し、積極的に省エネ活動に取り組むようになったんです。
それは素晴らしいですね!従業員の意識改革は、持続可能な取り組みには欠かせません。
ええ。それから、省エネ設備を導入したことで、電気料金が大幅に削減できました。当初は設備投資に不安がありましたが、井村さんにサポートしていただいて、補助金制度を活用できたのも大きかったです。
それは良かったです!リスクとして捉えがちだった気候変動対策が、コスト削減という具体的な成果に繋がった。まさに、ピンチをチャンスに変えた好例ですね。さらに、環境に配慮した新商品の開発も順調に進んでいると伺いました。
はい!環境性能の高さをアピールしたところ、新規顧客の獲得にも繋がりました。銀行からの融資も、以前よりスムーズに進むようになったと感じています。
素晴らしいですね!気候変動対策は、企業の競争力強化、資金調達の円滑化にも繋がるのです。今後も、世界では気候変動対策が加速していくでしょう。貴社のように、いち早く対応した企業が、持続可能な社会で大きく成長していくと確信しています。
はい!気候変動は、依然として大きな課題ですが、 井村さんという心強いパートナーと出会えたおかげで、未来に希望を持つことができています。
ありがとうございます。私も、貴社と共に成長していけることを嬉しく思います。今後も全力でサポートさせていただきます。