設定:経営者が、新製品・新サービス開発が難航していることに頭を悩ませ、コンサルタントに相談を持ちかけた場面から始まる。営業部長も同席している。
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今日はよろしくお願いします。実は、新しい製品やサービスを開発しようと考えているのですが、なかなか良いアイデアが浮かばなくて困っているんです。何か良い打開策はないでしょうか?
社長、本日はご相談いただきありがとうございます。新製品・新サービスの開発に行き詰まっているとのことですね。確かに、新しいアイデアを生み出すのは容易なことではありません。しかし、闇雲にアイデアを模索するのではなく、顧客のニーズを起点に考えることが重要です。
実は、今回相談する前に、いろいろと試してはみたんです。特に、競合他社が成功している製品をベンチマークして、似たような製品開発を進めてみました。しかし、これが全くと言っていいほどヒットせず… 顧客の声を聞かずに、ただ真似をするだけではダメだと痛感しました。
なるほど、社長は既に他社の成功事例を参考にされた経験をお持ちなのですね。社長がご認識のように、顧客ニーズを把握せずに、表面的な模倣に留まってしまったのかもしれません。顧客ニーズを深く理解し、競合にはない独自の価値を提供することが重要です。また、安易な模倣は、場合によっては特許権や意匠権などの侵害にあたり、法的なリスクも伴います。結果として、企業のブランドイメージや市場価値を毀損する恐れもあることを認識しておく必要があります。
顧客ニーズですか…。言われてみれば、顧客のことを深く考えていませんでした。具体的には、どのように顧客ニーズを掴めば良いのでしょうか?
まずは、ターゲットとする顧客を明確化することから始めましょう。年齢層、性別、職業、興味関心など、どのような顧客層にアプローチしたいのかを明確にすることが重要です。例えば、御社の既存製品・サービスの利用者はどのような属性の方が多いでしょうか?
そうですね…弊社の主力製品は、どちらかというと40代以上の男性に多く利用されていますね。ただ、新しい製品・サービスでは、もっと幅広い年齢層にアピールしたいと考えています。
なるほど。では、40代以上の男性に受け入れられている強みを活かしつつ、どのように他の層にアピールできるかを検討する必要があるでしょう。そのためには、まず既存顧客のニーズを分析し、彼らが製品のどのような点に満足しているのかを把握することが重要です。その上で、類似のニーズを持つ潜在顧客を洗い出し、彼らに響く新たな価値を創造していくのです。
なるほど…。既存顧客の分析が重要なのですね。しかし、顧客ニーズを調査するとなると、時間も費用もかかりますよね…。
もちろん、本格的な調査には時間と費用が伴います。しかし、まずは低コストで始められる方法もあります。例えば、既存顧客へのアンケート調査や、顧客との接点が多い営業担当者からのヒアリングなどが考えられます。
鈴木部長、何か顧客から要望を聞いたりしていますか?
鈴木部長: そうですねえ…最近では、もっと操作を簡略化してほしいという声はよく聞きますね。今の製品は多機能で高性能なんですが、その分操作が複雑になってしまっていて…。
なるほど…。シンプルで使いやすい製品を求める声が多いんですね。
それは貴重な意見ですね。このように、まずは社内で顧客に関する情報共有を行うだけでも、新たな発見があるかもしれません。顧客の声を直接聞ける機会として、グループインタビューを実施するのも有効です。参加者同士の自由な意見交換を促すことで、アンケートなどでは得られないような深い洞察を得られる可能性があります。
なるほど、それは試してみる価値がありますね。しかし、アンケートやヒアリングで顧客の本音が聞けるかどうか…。
もちろん、直接的な質問だけでは顧客の本音を引き出すのは難しいかもしれません。そこで、グループインタビューでは、ファシリテーターのスキルが重要になります。参加者にリラックスして話してもらえる雰囲気作りや、本音を引き出すための質問の仕方など、経験豊富なファシリテーターに依頼することをお勧めします。また、顧客の行動を分析し、その結果を開発に活かすことも重要となります。
顧客の行動を分析する…ですか?具体的にどのようにすれば…?
例えば、御社の製品が購入できる店舗があれば、顧客がどのように商品を選んでいるのか、店員とどのような会話をしているのかを観察するのです。Webサイト上で販売しているのであれば、顧客のアクセス状況を分析することで、顧客がどのような情報に興味を持っているのかを把握できます。
なるほど…。顧客の行動を分析することで、これまで気づかなかったニーズが見えてくるかもしれませんね。
その通りです。顧客ニーズを深く理解することで、顧客が本当に求めている製品・サービスが見えてきます。例えば、ソング中小企業診断士事務所の例で言えば、中小企業経営者の「売上向上の方法を知りたい」「経営改善の方法がわからず、相談相手もいない」というニーズをくみ取り、Webサイトや動画で情報発信したり、経営相談に応じたりするサービスを提供しています。 特に、Webサイトや動画での情報発信は、顧客が求める情報をタイムリーに提供できるという点で有効な手段と言えるでしょう。
なるほど…。顧客のニーズを捉え、的確なサービスを提供している好例ですね。
ええ。顧客ニーズを起点にすれば、新製品・新サービス開発の成功率を高めることができるでしょう。
今日は貴重なアドバイスをありがとうございました。早速、顧客調査に取り掛かりたいと思います!
数か月後
今日はお忙しいところありがとうございます。先日アドバイスいただいた新商品開発ですが、おかげさまで順調に進んでおりまして、近々リリースという段階まで来ました!
社長、それは素晴らしいですね!顧客ニーズを徹底的に分析したことが、今回の成功に繋がったのでしょう。
ええ、まさにその通りです。頂いたアドバイス通り、顧客アンケートやグループインタビューなどを実施し、顧客ニーズを徹底的に分析しました。その結果、これまで見落としていたニーズを掴むことができ、それが今回の新商品に活かされています。
素晴らしいですね。顧客ニーズを捉えた新商品は、市場からの反応も良いのではないでしょうか?
そうなんです!実は先日、プロトタイプを関係取引先に見ていただいたところ、非常に高い評価をいただきまして。予想以上の反響に、私たちも驚いているところです。
なるほど、それは素晴らしいですね。顧客ニーズを捉えた製品は、市場に受け入れられやすいという好例ですね。
さらに、思わぬ副産物もあったんです。
副産物、ですか?
ええ。新商品の開発計画を金融機関に説明したところ、弊社の将来性について高く評価していただきまして、融資条件の改善を提案していただいたんです。
なるほど!それは素晴らしいですね。
これまで、新しい事業展開には慎重な姿勢を見せていた金融機関だったのですが、今回の新商品開発を機に、弊社の取り組みを積極的に評価してくれるようになったと感じています。
顧客ニーズを捉えた新商品開発は、企業の収益向上だけでなく、対外的な信用力向上にも繋がるということですね。
本当に、相談してよかったです。顧客ニーズを起点に考えることの重要性を改めて認識しました。
社長の熱意と行動力が今回の成功に繋がったのだと思います。私も、微力ながらお役に立てて光栄です。
新商品のリリースに向けて、気を引き締めて頑張ります!