
動画で見る失敗事例の切り口からの記事説明
※この動画は「失敗事例の切り口から」全記事に共通して掲載しています。
「価格を下げれば、きっとお客さまは戻ってくる」─。
かつて順調だった美容サロンは、コロナ禍を機に客足が遠のいたことをきっかけに、値下げ戦略を取りました。結果、短期的には新規客が増えたものの、常連の離脱とリピート率の低下により、利益は減少。気づけば「安いだけ」のブランドとなり、再建は困難に。本記事では、なぜこうなったのか、無形サービスにおける価格の意味を掘り下げながら、ブランドを守る経営の本質について考えます。
集客減に悩み、価格を下げ続けた美容サロン。しかし一時的な来客はあってもリピートに繋がらず、常連客も離れ、ブランド力は低下─。無形サービスにおいて「価値の届け方」を誤った結果と、そこから見える再起のヒントを探ります。


設定:経営者が、美容サロンの集客に頭を悩ませ、コンサルタントに相談を持ちかけた場面から始まる。
現場・構造・感性・仕組み。4つの視点で「経営を届ける」全体像を体系化しました。
セクション0:事例の前提条件
- 事業形態:小規模美容サロン(創業10年、年商約4,000万円)
- 主要顧客:長年の常連による安定した来店(平日中心にゆったり、週末は新規も賑わい)
- 環境変化:コロナ禍で新規顧客が激減し、売上が30%以上ダウン
- 初期対応:クーポンアプリを活用した期間限定の大幅値下げ(初回50%OFF、紹介特典など)
値下げ後の効果
- 新規客は一時的に増加
- 客単価・リピート率が顕著に低下
- 常連から「予約が取れない」「施術が雑」といった不満が噴出
- スタッフの疲弊と利益率悪化が同時進行
問題の核心
「安さ」でしか訴求できないブランドに転落し、無形サービスとしての本質的価値が見えにくくなっている点
事例の背景と登場人物
今日はお時間いただきありがとうございます。まずは、貴サロンの状況を教えていただけますか?
はい。私たちのサロンは、年商約4,000万円で、オープンから10年、地元のお客様に支えられてきました。特に常連のAさんやBさんには、週一ペースでご来店いただいていて、落ち着いた経営を続けていました。
コロナ禍前はどういう雰囲気だったのでしょうか?
平日は常連さんでゆったり、土日は新規も含めて賑やか。スタッフもお客様も笑顔が絶えない場所でした。
コロナ禍での苦境と試行錯誤
コロナ禍で最初に感じた変化はどういったものでしたか?
4月頃から新規客が激減し、売上は一気に3割ダウン。家賃や人件費が重くのしかかり、目的を失ったような焦りがありました。
そのときに最初に打った策は具体的にどのようなものでしょうか?
クーポンアプリで期間限定値下げを始めました。『初回50%OFF』『友達紹介で無料トリートメント』といった感じです。
主に値段での訴求をされたということですね。お客様の反応はいかがでしたでしょうか?
確かに新規は増えました。でも、常連さんからは『予約が取りづらい』『施術時間が短くなった気がする』と不満の声が。リピートも伸び悩み、利益率が下がりました。
失敗の経緯─値下げが呼んだ“別の危機”
最初は『価格を下げればお客様は戻ってくる』と信じていました。でも、気づいたら“安いだけ”のブランドになっていました。
具体的にどの点でブランド毀損を感じましたか?
主に以下のような点ではないかと思います。
・常連が別サロンに流れた
・新規の単価が低く、回転数重視の無機質な接客になった
・スタッフが時間に追われて疲弊し、サービス品質がさらに下がった
なるほど。価格以外の価値が見えにくくなってしまったわけですね。
目指していた理想像との乖離
当初、どんな理想を描いていましたか?
『新規客も常連も増えて、また賑わうサロンに戻る』というイメージでした。
実際はいかがでしたでしょうか?
『低単価の一見さんが多く、スタッフは回転作業に追われる』。想定していた“活気ある空間”とは逆方向でしたね。
仰る通り、無形サービスでの“安売り”は、こうした副作用を引き起こしやすいんです。安さにつられて新規顧客は一時的には増えますが、事業全体の利益率向上には寄与しないことがほとんどです。
もしソング中小企業診断士事務所に依頼されていたら
ここからは、私たちの事務所が着目するポイントをお話ししつつ、改善策を整理いたします。
ぜひお願いします。
視点:価格ではなく価値の再定義
- お客様が本当に求めている体験や結果を言語化
- 例:『忙しい日々に、自分だけの特別な”癒しの時間”を提供する』
視点:顧客心理・購買動機の分析と訴求軸整理
- 常連・新規の動機を個別にヒアリング
- 購買プロセスをマッピングし、改善ポイントを抽出
視点:価格以外で選ばれる理由(ナラティブ設計)
- ストーリー化:サロンの歴史やスタッフの思いをコンテンツ化
- WebやSNSで共感を誘う発信
視点:新規と常連のバランス設計
- 予約導線の仕組み化:曜日や時間帯でプランを分ける
- 会員制プログラムで常連向けの優遇を明確化
ソング中小企業診断士事務所の具体的支援策
では、失敗を挽回しながら、成長軌道に乗せるステップをご紹介します。
価値再定義ワークショップ
サロンがお客様に提供している“本質的価値”を改めて言語化し、全社で共有する1~2日間の集中セッションです。
- 参加者:経営者、店長クラスのスタッフ、可能なら代表的な常連顧客(3~5名)を招集
- ファシリテーション:事前アンケートをもとに、期待・不満・理想のサロン体験を付箋に可視化
- ロールプレイ:スタッフと経営者が顧客役・施術者役を演じ、期待される接客シーンを体感
- 成果物:コアバリュー(例:「日常の喧騒から離れ、自分だけの特別時間を提供する」など)の共通言語化
購買動機アンケート・インタビュー実施
新規・常連それぞれの来店動機や意思決定プロセスを数値と生の声で把握し、打ち手に落とし込みます。
- 定量アンケート:来店理由、満足度、再来店意向を5段階評価で収集(回収目標200件程度)
- 深掘りインタビュー:アンケート回答者から男女各3名ずつ選び、30~60分の個別ヒアリング
- 分析手法:得られたデータをクロス集計し、年齢・性別・来店頻度別にペルソナを設定
- 成果物:主要ペルソナごとの〈悩み〉〈期待する価値〉〈訴求メッセージ〉を整理したマトリクス表
ナラティブコンテンツ制作支援
言語化したコアバリューやペルソナニーズをもとに、各チャネルで“共感を呼ぶ物語”を制作します。
- Webサイト・SNS:トップページキャッチコピー、事例紹介記事、スタッフ紹介ストーリーの構成設計
- 店内POP:施術前後のビフォーアフター写真と顧客の喜びコメントを組み込んだデザイン案
- 取材~ライティング:代表顧客の体験談を取材し、感情を喚起するナラティブ原稿を作成
- 制作プロセス:企画→スクリプト作成→ドラフト確認→最終校正→運用マニュアル提供
予約導線と会員制度の再設計
オンライン・オフライン両面でストレスなく予約でき、常連に優位性を感じてもらえる仕組みを整えます。
- UX視点での予約フロー改善:
- 空き状況が色分けで一目瞭然になるカレンダーUI
- 初回来店・リピーターで予約フォームを切り替え、最適なオファーを自動表示
- 会員制度設計:
- シルバー会員(来店3回で1ドリンク無料)、ゴールド会員(半年以内10回で次回15%OFF)等のランク付け
- 月1回「メンバーズ・サロンDAY」を設定し、会員限定の特別メニューや優先枠を用意
実行支援と効果検証
施策の定着を図り、数値と顧客フィードバックの両面でPDCAを回します。
- 月次KPI設定:予約件数、客単価、リピート率、ネットプロモータースコア(NPS)などを指標化
- ダッシュボード提供:クラウドツールで各指標をリアルタイムに可視化し、業務効率化
- 分析会運営:毎月30分~1時間のオンライン会議で、前月実績と改善案をレビュー
- 顧客反応フォロー:来店後の簡易アンケートやLINEでの1対1チャットを通じて生の声を収集
これらを一気通貫でサポートするのが私たちの強みです。“ストーリーで選ばれる伝え方”を活かしながら、無形サービスでも同様にブランドを高められます。
まとめと次の一歩
最後にお伺いします。今の価格設定は、お客様にどう説明できますか?
―正直、説明しきれていない気がします。
“なぜその価格なのか”を言語化できれば、値下げ以外の選択肢が見えてきます。お安くすることでしか届けられない価値は、本来のサロンの魅力ではないのでは、と考えられます。
たしかに…。安さではなく、時間と空間の質で選ばれるサロンにしたいです。
では、まずは価値再定義ワークショップから始めてみましょう。スタッフの意見も巻き込み、連携しながら進めていくイメージです。ご一緒に、新しい賑わいを取り戻しましょう!
わかりました!具体的なアドバイス、ここからの挽回策も提示していただいて、分かりやすくとても助かります。ただ、これから本当に施策を実行していけるのか、不安もあります。
はい、そのご不安は当然かと思います。ソング中小企業診断士事務所では、将来的に御社が自走化できる仕組み作りを一緒に考えてまいります。どうぞご安心ください。これから、一緒に進んでいけるパートナーとして力を尽くさせていただきます。どうぞ今後ともよろしくお願い致します。
―あなたの無形サービスが、本当に選ばれる理由は何でしょうか?今こそ、その答えを言葉にしてお客様に届ける一歩を踏み出しませんか?
ご自身のサービスは、「価格」以外で何を提供しているでしょうか?ぜひ、今の価格を「価値の言語化」という視点で、見直してみてください。
似たような失敗、あるいは今まさに直面している課題に、思い当たることはありませんか?
失敗を責めず、まず受け止め、構造を読み解く。
私の支援は、いつもここから始まります。
数字や理論の前に、現場の声を丁寧に聴き、意思決定の背景や組織の空気感を捉えながら、
「なぜこうなったのか」「今できる最適解は何か」を一緒に探っていきます。
失敗は誰にでも起きます。
重要なのは、そこからどう立て直すか。
私は、そのプロセスに寄り添う支援にこだわっています。
もし今、同じような課題に向き合っているなら、
一度、率直な対話の時間を持ってみませんか?
下のフォームから、お気軽にご連絡ください。
