私の経験談です。
2008年、私は音楽家として独立しましたが、数年後、自宅を購入しました。
実はその時、住宅ローンの借り入れをするのに非常に苦労をしました。その時のお話をさせてください。
事業としての銀行からの融資獲得に、通じるものがあると考えるためです。
申し込んでは審査落ちを繰り返す
住宅ローンを契約するため、メガバンクはもちろん、地方銀行、信用金庫、労働金庫、JA、フラット35、はてはネット銀行にいたるまで、さまざまなところに住宅ローン審査を申し込みましたがことごとく却下…
事業主というだけで門前払い、そんな金融機関さえありました。
実はその時、会社員時代よりも収入が多かったにも関わらず、です。
理不尽だと感じながらも、諦めず、まだ申し込んでいなかった、当時まだ新しかったネット専用銀行に申し込んだのでした。
でも、今までと同じではきっと審査に通らないだろう…そう考えたのです。
では、何をしたか?というと、現在までの経営において順調に利益が出ており、伸びていること、さらに今後数年間にわたって更なる増収増益が見込めることを、現在の状況から計画を立て、申し込む際に銀行に参考資料として提出したのです。
それは銀行から提出を求められていないもので、自主的に提出したものでした。
結果…なんと審査に通ったのです!
銀行から「あの資料があったから通りました」と明確に聞いたわけではありませんでしたが、それに近いことは言っていたので、おそらくはその資料が決め手となったものと思います。
これは個人として住宅ローンを借り入れる際の話ですが、企業として銀行融資を受ける際にも通じる話だと考えます。
実体験として銀行の融資方針を感じた経験でした。
ちなみにその後、都銀に借り換えをして金利引き下げに成功しています。これは、何とも拍子抜けするくらい簡単にできてしまいました。
おそらく実際に住宅ローン借り入れを果たし、数年間しっかり返済をしてきている、という実績があるからこそ、借り換えもスムーズにできたのだと思います。
これも同様に、企業としての借り換えの際にも通じる話だと思います。
本質は個人も企業も同じ
小規模な事業だからと言って、大規模な法人だからと言って、銀行の対応の本質が変わることはありません。
銀行はいつも、「ちゃんと返済できるのだろうか」というところをシビアに見てきます。
その結果、ちゃんと返済できるところには積極的に貸したいはずですし、その逆もまたしかりです。
滞りなく返済してくれる相手であれば、融資残高も増え金利収入も増えます。しかし、貸し倒れのリスクがある相手には融資判断が慎重にならざるを得ないでしょう。
とは言え、未来のことは誰にも分かりません。
本当にちゃんと返済できるのか、その保証はないにせよ、少なくとも「ちゃんと返済できそうだ」と思ってもらえない限り、融資獲得は覚束ないでしょう。
私が大変苦労した、独立して住宅ローンの借り入れができなかった件も同様で、事業の規模にかかわらず貸し付けを行う金融機関にとって将来的にリスクは大きくないか、融資を行うメリットがあるか、その点を相手側の立場にたって考えることが重要なのだと考えております。
融資を引き出す考え方
信用保証協会の保証付き融資は会社ごとに「枠」が設定されていると言われ、銀行としても万が一支払いが滞った際のリスクが少ないため、プロパー融資(信用保証協会の保証がつかず銀行と企業で直接融資契約を結ぶ)に比べると借りやすい反面、できるだけプロパー融資での借り入れをすることが、将来的にな業績悪化等のリスクに備えることができます。
借りやすい借り方の枠を残しておいたほうが有利だからです。
これについては、より詳しくは別の機会にご説明させていただきたく考えております。
銀行融資獲得を通じての経営改善サポート
ソング中小企業診断士事務所では、銀行融資獲得支援のサービスを行っております。
今回の記事でご説明したような考え方をもとに銀行融資獲得が実現できるように進めさせていただきます。
ただ融資を獲得できれば良い、ということではなく、中長期的に見た金融機関との関係維持・改善も見据えたうえで事業の成長戦略を描き、第三者に対しても納得感のある資料を作成し説明を行う。
そうすることで金融機関はもとより、関係者や取引先にも信頼される企業として成長していけるような、そんなお手伝いができれば嬉しいと思っております。
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