第45回|自動ドアの前で立ち止まった瞬間─「立ち位置が少し違うだけで」【日常発見の窓口から】 | ソング中小企業診断士事務所

第45回|自動ドアの前で立ち止まった瞬間─「立ち位置が少し違うだけで」【日常発見の窓口から】

第45回|自動ドアの前で立ち止まった瞬間─「立ち位置が少し違うだけで」【日常発見の窓口から】

動画で見る診断ノートの記事説明

※この動画は「診断ノート」全記事に共通して掲載しています。

先日、ある建物に入ろうとしたときのことです。入口の自動ドアの前まで来たのに、なぜかドアが開きませんでした。「あれ?」と思って一歩前に出ても反応しません。故障だろうかと思いながら少し周囲を見回してみると、私はセンサーの位置から少し外れた場所に立っていました。ほんの数十センチの違いです。立つ場所を少し変えた途端、ドアは何事もなかったかのように開きました。そのとき、ふと仕事や経営にも似たところがあるように感じました。

4つの体系で読む、井村の経営思想と実践
記事・ツール・コラム・思想─すべては一つの設計思想から生まれています。
現場・構造・感性・仕組み。4つの視点で「経営を届ける」全体像を体系化しました。

実践・口

経営相談の窓口から
失敗事例の切り口から
会計数値の糸口から

現場の声を起点に、課題の本質を捉える入口。
今日から動ける“実務の手がかり”を届けます。

時事・構造

診断ノート
経営プログレッション
 

経営を形づくる構造と背景を読み解きます。
次の一手につながる視点を育てる連載です。

思想・感性

日常発見の窓口から
迎える経営論
響く経営論

見えない価値や関係性の温度に光を当てます。
感性と論理が交差する“気づきの場”です。

実装・仕組み

わかるシート
つなぐシート
みえるシート

現場で“動く形”に落とし込むための仕組み群。
理解・共有・対話を支える3つの現場シートです。

「開かない」と思ったとき

人は何かがうまくいかないとき、原因を外側に探したくなります。仕組みが悪い、市場が悪い、お客様が変わった、時代が変わった。もちろんそれらが原因であることもあります。しかし実際には、自分の立ち位置が少しずれているだけということも少なくありません。自動ドアは壊れていませんでした。私が少し外れていただけでした。

同じ景色でも見えるものは変わる

立つ場所が変わると、見える景色も変わります。店舗に立てば現場が見えますし、事務所にいれば数字が見えます。お客様の立場に立てば不便が見え、従業員の立場に立てば負担が見えます。どれも間違いではありませんが、一つの場所からしか見ていないと、本当の原因を見落としてしまうことがあります。

経営相談の現場でも、「売上が伸びない」という悩みを掘り下げていくと、実際には集客ではなく受注体制の問題だったり、価格ではなく説明不足だったりすることがあります。立ち位置が変わるだけで、課題の見え方は大きく変わります。

努力の方向がずれることもある

自動ドアが開かないとき、私は一歩前に出ました。それでも開きませんでした。今思えば、前に進むことではなく、横に動くことが必要だったのです。仕事でも同じことがあります。「もっと頑張れば解決する」「もっと時間を使えば改善する」と思うかもしれませんが、本当に必要なのは、努力量を増やすことではなく方向を変えることかもしれません。前進することと、正しい方向へ進むことは別の話です。

開かないドアが教えてくれること

私たちは問題が起きると原因を探します。それは大切なことですが、その前に一度だけ確認してみてもよいのかもしれません。自分は今どこに立っているのだろうか、見ている方向は偏っていないだろうか、相手の立場から見たら違う景色が見えるのではないだろうか、ということです。

自動ドアは、ほんの少し立ち位置を変えるだけで開きました。人生や経営の問題も、ときには同じなのかもしれません。あなたが最近「なぜかうまくいかない」と感じていることは、本当にドアの故障でしょうか。それとも、自分の立ち位置が少しだけずれているのでしょうか。

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