第18回|タクシーを呼ぶほどではない距離 →「体感が判断をつくる」【日常発見の窓口から】 | ソング中小企業診断士事務所

第18回|タクシーを呼ぶほどではない距離 →「体感が判断をつくる」【日常発見の窓口から】

第18回|タクシーを呼ぶほどではない距離 →「体感が判断をつくる」【日常発見の窓口から】

動画で見る日常発見の窓口からの記事説明

※この動画は「日常発見の窓口から」全記事に共通して掲載しています。

中小企業診断士としての日常のひとコマから、経営者としての“感情”や“判断”に潜むクセを考えるこのシリーズ。
今回は、「歩けるけれど、タクシーを呼んでもいい距離」という曖昧な場面から、“自分の状態を知ること”について考えてみます。

4つの体系で読む、井村の経営思想と実践
記事・ツール・コラム・思想─すべては一つの設計思想から生まれています。
現場・構造・感性・仕組み。4つの視点で「経営を届ける」全体像を体系化しました。

実践・口

経営相談の窓口から
失敗事例の切り口から
会計数値の糸口から

現場の声を起点に、課題の本質を捉える入口。
今日から動ける“実務の手がかり”を届けます。

時事・構造

診断ノート
経営プログレッション
 

経営を形づくる構造と背景を読み解きます。
次の一手につながる視点を育てる連載です。

思想・感性

日常発見の窓口から
迎える経営論
響く経営論

見えない価値や関係性の温度に光を当てます。
感性と論理が交差する“気づきの場”です。

実装・仕組み

わかるシート
つなぐシート
みえるシート

現場で“動く形”に落とし込むための仕組み群。
理解・共有・対話を支える3つの現場シートです。

歩いてもいいし、乗ってもいい距離

外出先で用事を終えた帰り道。
駅までは、歩いて15分ほど。
天気も悪くない。時間にも余裕がある。

でも、なんとなく疲れている気もする。
タクシーを呼んでしまえば、すぐに駅に着く。

「歩いてもいいし、乗ってもいい」
その中間の距離に立ったとき、いつも少し考え込んでしまいます。

歩くことを選んだ日もあれば、呼んでしまった日もある。
決めては、理屈ではなく、そのときの体の声でした。

数値では測れない「状態」がある

経営の現場でも、同じことが起きているように思います。

たとえば、

  • 新しい施策を始めるか
  • 一旦立ち止まるか
  • 外注するか内製するか

合理的な判断基準はたくさんあるのですが、
最後に決め手になるのは、数字ではなく「いまの自分(または組織)の状態」です。

体力があるときは、攻められる。
余裕がないときは、無理に進まない方がいい。
判断は情報ではなく、体感の中に宿ることがある。

タクシーを呼ぶかどうか、あのわずかな迷いの中に、
自分の“いま”がにじみ出ているのだと思います。

自分の声を聞き取るということ

大事なのは、どちらを選ぶかではなく、
なぜ、それを選んだのかを自分でわかっていることだと感じます。

「今日は歩きたい気分だったから歩いた」
「今日は心と体を少し労わりたかったから乗った」

その理由が自分の内側からしっかり言えるとき、
判断は、他人の目ではなく、自分の感覚で立っています。

経営もまた、“自分の声”が聞こえる人は、迷いながらも進める人です。
判断とは、知識だけでなく、
自分を扱ううまさでもあるのだと思います。

最後の問いかけ

あなたは今日、どんな基準で「進む」や「休む」を選びますか?
その基準は、あなた自身の声でしょうか。

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