第17回|使いかけのノートを見つけた夜 →「続ける勇気と、やり直さない力」【日常発見の窓口から】 | ソング中小企業診断士事務所

第17回|使いかけのノートを見つけた夜 →「続ける勇気と、やり直さない力」【日常発見の窓口から】

第17回|使いかけのノートを見つけた夜 →「続ける勇気と、やり直さない力」【日常発見の窓口から】

動画で見る日常発見の窓口からの記事説明

※この動画は「日常発見の窓口から」全記事に共通して掲載しています。

中小企業診断士としての日常のひとコマから、経営者としての“感情”や“判断”に潜むクセを考えるこのシリーズ。
今回は、机の奥から出てきた一冊のノートをきっかけに、“継続”と“再開”のあり方について考えてみます。

4つの体系で読む、井村の経営思想と実践
記事・ツール・コラム・思想─すべては一つの設計思想から生まれています。
現場・構造・感性・仕組み。4つの視点で「経営を届ける」全体像を体系化しました。

実践・口

経営相談の窓口から
失敗事例の切り口から
会計数値の糸口から

現場の声を起点に、課題の本質を捉える入口。
今日から動ける“実務の手がかり”を届けます。

時事・構造

診断ノート
経営プログレッション
 

経営を形づくる構造と背景を読み解きます。
次の一手につながる視点を育てる連載です。

思想・感性

日常発見の窓口から
迎える経営論
響く経営論

見えない価値や関係性の温度に光を当てます。
感性と論理が交差する“気づきの場”です。

実装・仕組み

わかるシート
つなぐシート
みえるシート

現場で“動く形”に落とし込むための仕組み群。
理解・共有・対話を支える3つの現場シートです。

止まった時間と、残された文字

久しぶりに整理をしていた夜、使いかけのノートが出てきました。
数年前に書いていたアイデアメモのようで、途中のページで筆が止まっています。
当時の文字を眺めていると、何かを考え、形にしようとしていた熱のようなものが、かすかに蘇ってきました。

「どうして途中でやめてしまったんだろう」と思う一方で、
今の自分がその続きを書こうとすることに、少しのためらいもありました。

──なぜなら、「やり直す」という言葉には、どこか“失敗を取り戻す”ような響きがあるからです。

「再開」ではなく「続きから始める」

ふと気づいたのは、ノートをもう一度開くという行為は、“やり直す”というより、“続きから始める”ということなのかもしれない、ということでした。

経営でも、何かの施策やプロジェクトが途中で止まってしまうことがあります。
忙しさや環境の変化の中で、「一度止まったものは終わり」と思ってしまいがちです。

けれど、それは“終わった”のではなく、ただ“一時停止している”だけなのかもしれません。
過去を否定するのではなく、その続きを自然に再び書き始める。
そのとき、人は「新しい始まり」ではなく、「続きの今」を生きているのだと思います。

時間は途切れない。人もまた、途切れない。

あらためてノートをめくりながら思ったのは、自分という存在も、事業も、ある瞬間で完結するものではないということです。

止まっていたように見える時間も、実は見えないところで積み重なっていた。
止まった経験、遠回りした期間も、「今ここから」の再開に確かな厚みを与えてくれる。

そう思うと、“続ける勇気”とは、途中で止まっていた自分を責めず、「ここからもう一度」と静かにノートを開く、その心の動きそのものなのだと思います。

最後の問いかけ

あなたにも、途中のままになっている“何か”はありますか?
もしあるなら、やり直すのではなく──続きから始めてみませんか。

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